SIAM MITSUI PTA CO., LTD.
予防保全の実施とメンテナンスの高効率化で、安全で生産効率の高い石油化学プラントを実現
タイ国内で最大規模のPTA生産拠点で山武の調節弁500台以上がプラントの安全・安心に貢献しています。
新たに調節弁のメンテナンスサポートシステムValstaffを採用することで、メンテナンスを効率化。
メインポリシーに掲げた、コストの削減に向けて取り組んでいます。
![SMPCのPTA製造プラント。<br />年間生産量144万トンを誇る。](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_311/__icsFiles/afieldfile/2021/07/08/nou_311_01.jpg)
SMPCのPTA製造プラント。
年間生産量144万トンを誇る。
工場・プラント分野 石油・石油化学 コスト削減 安定稼働 稼働改善 海外 コントロールバルブ(調節弁)/操作端
導入製品・サービス
タイ国内最大のPTA生産施設 生産能力は日本国内の2.5倍強
![アズビルタイランド現地スタッフはお客さまと密接なコミュニケーションを取っている。](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_311/img/nou_311_02.jpg)
アズビルタイランド現地スタッフはお客さまと密接なコミュニケーションを取っている。
バンコクから南東へ車で2時間ほどのリゾート地として名高いパタヤビーチの少し先、マプタプット工業団地内にSIAM MITSUI PTA CO., LTD.(以下 SMPC)はあります。同社は、タイの財閥グループであるサイアムセメントグループの化学部門(SCG-C)と日本の三井化学株式会社が出資し1995年に設立されました。ポリエステル繊維やPET樹脂の原料となるPTA※1を生産する拠点として、1999年から2005年にかけて3期にわたりプラントを拡張し、生産能力を拡大してきました。
SMPCのプラントは三井化学が日本に保有する岩国大竹工場をモデルにしたプラントとしてスタートしました。現在のPTA年間生産量は144万トンと、タイでは最大の生産施設となり、岩国大竹工場の年産56万トンを大きく上回る生産能力となっています。同社が生産したPTAは、タイ国内市場をはじめとするアジア全域に出荷されています。
調節弁の状態をモニタリングすることでメンテナンス効率とコストを改善
SMPCでは、プラント運営のための5つのポリシーを定めています。その中の「厳しい競争を勝ち抜いていくためのコストと品質のたゆまぬ進化」を具現化するために、常にコスト削減と品質向上策を模索しています。
「品質を確保しながら、プラントの運用全体に係るコストを2009年度で20%削減することを目標に掲げました。そして、これを実現するためには、運用とメンテナンスという2つについて、どのようにバランスよく改善するかがポイントとなります。その中で、まずはプラントの安全を担うメンテナンスの改善に着手しました」(タヌンチャイ氏)
プラントを安全に運用し、安定した生産を保つためには、各種パーツや設備などのメンテナンスを行うことが欠かせません。調節弁の運用状況を把握することができれば部品交換を行う最適なタイミングと回数を見極めることができ、さらには異常の検知も可能となります。
この要望を受け、同社のプラントに納入されている500台以上の山武製調節弁のメンテナンスも担当していた山武のグループ会社であるアズビルタイランド(以下ATH)は、調節弁の開閉を制御するポジショナ※2を介して調節弁の稼働状況をモニタリングすることのできる調節弁メンテナンスサポートシステム Valstaff™を提案しました。
「今までの実績と信頼、そしてATHの説明からValstaffの有効性が理解できたことで導入を決定しました。プラント内の重要な個所に設置された最もメンテナンスコストのかかる特殊アングル6台に対象を絞りValstaffを利用したモニタリングを開始しました」(タヌンチャイ氏)
調節弁の稼働状況データを収集し解析することで、消耗部品であるグランドパッキンの劣化状態を把握することや、シート部やガイド部の固着を事前に検知することができます。これにより、開放点検※3や交換部品の準備など計画的な立案を行うことが可能となりメンテナンス効率の向上につながります。
SMPCではValstaffを導入して半年が経過し、メンテナンスを改善する判断を行う上でのデータも集まってきました。
「メンテナンスコストについては、期待以上の削減効果が見込めそうです。稼働状況データを解析することにより、グランドパッキンを現状より長く使えそうなことが分かりました。このような分析により、予防保全としてメンテナンスの必要なバルブに必要な処置を行うことや、メンテナンスの最適化が可能となりました。今後は、グランドパッキンの延命にもさらに挑戦したいと考えています」(タヌンチャイ氏)
メンテナンスの指標となる稼働状況データを得たことで、今後も継続して効果を確認することができれば、Valstaffでモニタリングする項目や調節弁の台数を増やすことも考えているといいます。
「プラントを安全・安心に運用するためにメンテナンスという作業がなくなることはあり得ません。不具合を起こす前に予知・予防を行い、事前に最適な対処を行うことが重要と考えています。また、Valstaffのデータ解析により調節弁を効率的に運転する情報や手法を、プラントを運用する部門にフィードバックすることも始めています」(タヌンチャイ氏)
![SMPCにも同形が納入されているスマート・バルブ・ポジショナを搭載した調節弁(写真は一般弁AGVB)。Valstaffは、調節弁に搭載したスマート・バルブ・ポジショナと通信を行うことで、プラント運転中に調節弁の稼働状況にかかわる情報を収集することができる。](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_311/img/nou_311_03.jpg)
SMPCにも同形が納入されているスマート・バルブ・ポジショナを搭載した調節弁(写真は一般弁AGVB)。Valstaffは、調節弁に搭載したスマート・バルブ・ポジショナと通信を行うことで、プラント運転中に調節弁の稼働状況にかかわる情報を収集することができる。
![調節弁の動作をモニタリングしているValstaff(写真はワークショップ、テスト時のもの)](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_311/img/nou_311_04.jpg)
調節弁の動作をモニタリングしているValstaff(写真はワークショップ、テスト時のもの)
CVメンテナンスセンターを設置し地域密着型のサポートを実現
![ATHのラヨンCVメンテナンスセンター。](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_311/img/nou_311_05.jpg)
ATHのラヨンCVメンテナンスセンター。
2007年2月、ATHはSMPCと同じラヨン地区にあるCVメンテナンスセンターを移設拡張しました。これにより、さらにスピーディで手厚いサポートが可能となり、より充実したサービスを提供できるようになりました。Valstaffで収集した調節弁稼働状況データは、日本の技術部門で解析を行い定期的に報告を行っています。
「データの解析内容、レポートについては大変満足しています。ATHの担当者も技術力が上がりサービスも充実してきました。今後は、さらなるスキルアップを行い、タイ国内でValstaffのデータ解析を実現し、素早い情報共有とサポートを期待します」(タヌンチャイ氏)
※2012年3月以前の情報は、旧名称が使われているケースがあります。ご了承ください。
用語解説
※1 PTA
Purified Terephthalic Acid。高純度テレフタル酸。ポリエステル繊維やペットボトルの原料となる石油化学製品。
※2 ポジショナ
調節弁の開閉状況や動作を制御する機器。
※3 開放点検
調節弁を解体し内部の点検を行う。
お客さま紹介
![SIAM MITSUI PTA CO., LTD. 電気計装マネジャー兼メンテナンス プランニングマネジャー タヌンチャイ・コシントラクルチャイ氏 (Thanunchai Kosintrakulchai氏)](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_311/__icsFiles/afieldfile/2021/07/08/nou_311_07.jpg)
電気計装マネジャー兼メンテナンスプランニングマネジャー
タヌンチャイ・コシントラクルチャイ氏
(Thanunchai Kosintrakulchai氏)
SIAM MITSUI PTA CO., LTD.
![](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_311/__icsFiles/afieldfile/2021/07/08/nou_311_06.jpg)
SIAM MITSUI PTA CO., LTD.
SIAM MITSUI PTA CO., LTD.
- 所在地/8 Prakornsongkroraj Rd., Hemaraj Eastern Industrial Estate Soi G-2 Muang District, Rayong Province 21150 Thailand
- 創業/1995年
- 事業内容/高純度テレフタル酸(PTA)の製造
この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2009年09月号に掲載されたものです。