株式会社 ポッカコーポレーション 群馬工場
作業ミスをなくすためのシステム導入が、商品の安定した品質維持に大きく貢献
「ポッカレモン」「ポッカコーヒー」など消費者に広く親しまれる飲料や食品のメーカーとして知られているポッカコーポレーション。同社の群馬工場では、常に安定した品質の商品提供を念頭に、原料の取違えや計量・投入時の作業ミスをなくすためのシステム構築に着手。その取組みの結果、作業ミス発生の可能性を最小限に抑えるとともに、各製造ライン間での柔軟なオペレータ配置が可能となりました。
![株式会社 ポッカコーポレーション 群馬工場](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_378/__icsFiles/afieldfile/2021/07/30/nou_378_01.jpg)
株式会社 ポッカコーポレーション 群馬工場
工場・プラント分野 食品 品質管理 安定稼働 稼働改善 運転監視・制御システム&ソフトウェア
導入製品・サービス
![食品工場向けMES スーパー管理食](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_378/__icsFiles/thumbnail/2021/07/30/monitoring-control-system_300x221.jpg)
商品の品質を維持するために、調合工程での作業ミス防止が不可欠
1957年の創業以来、190g缶コーヒーの先駆け的な存在である「ポッカコーヒー」の製造や、世界初のホット/コールド双方の飲料に対応した自動販売機を開発するなど、常に進取の精神で飲料・食品事業に取り組んできた株式会社 ポッカコーポレーション。現在、「お客様にいつも感動を提供する」という経営理念の下、創業の原点である「ポッカレモン」を中心とした「レモン事業」をはじめ、「コーヒー事業」や「スープ事業」などの領域でビジネスを展開しています。
同社の群馬工場は、1991年に操業を開始。名古屋工場と並ぶ飲料・食品生産の拠点として、缶コーヒーやペットボトル飲料、カップ入りスープなどの製造ラインを有し、主に東日本地域に向けて供給される飲料や食品など、ポッカの主力商品の製造を担っています。
「商品・製品の安全・安心の確保はもちろん、お客さまが期待する“味”の商品を、安定的に提供し続けるために品質維持は重要な課題です。これに対し当工場では、厳格な規格値といった指標を設けて、徹底した品質管理に努めています」(三枝氏)
商品・製品の品質維持に向け、製造工程の中でも特に重要なプロセスとなるのが、独自のレシピに基づいて、定められた原料を所定量投入し、加工するという調合工程です。この工程では、原料の取違えは言うまでもなく、お客さまの期待する味を安定的に供給するため、微細な計量ミスなども避けなくてはなりません。
「特に当工場の場合、調合タンクが2万~3万リットルという大容量であるため、仮に原料取違えなどのミスがあれば、作業の手戻りだけではなく、製造途中のものを廃棄することになるためコストの面でも甚大な損害が生じてしまいます。品質維持、リスク回避の両面から、調合工程でのミスを根絶するための対策が求められていました」(玉利氏)
作業ミスの極小化に加え、柔軟なオペレータの配置も可能に
![計量を行う作業員はスーパー管理食の端末画面上に表示される指示に従い、原料の払出し、計量を行う。原材料名、原料ロットNo、計量値、計量日などが記載されたラベルを印字し貼り付ける](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_378/img/nou_378_02.jpg)
計量を行う作業員はスーパー管理食の端末画面上に表示される指示に従い、原料の払出し、計量を行う。原材料名、原料ロットNo、計量値、計量日などが記載されたラベルを印字し貼り付ける
これまでは紙に記載されたレシピに基づいて、オペレータがその内容を確認・判断しながら、原料の払出しや計量、調合タンクへの投入といった一連の作業を行っていました。これらの作業について見直しを行った結果、作業の流れをシステムで支援していけるような仕組みの構築を目指すことにしました。そして、複数のベンダーに相談し、群馬工場が最終的に選択したのが、アズビル株式会社の提案する食品工場向けMES※1スーパー管理食™を導入するという方法でした。
「当工場では操業開始時から、流量計や圧力計といった計器類を中心に、広くアズビル製品を採用してきました。長きにわたって培われてきた、アズビルに対する厚い信頼がシステム選定を大きく後押ししました。また、今回システムの適用対象とした粉体原料の調合だけではなく、液体原料の調合も含めた計量実績や投入実績についてのトレーサビリティの実現なども見据えています。そうした要望にトータルで対応できるという点でもアズビルとスーパー管理食を高く評価しました」(和田氏)
アズビル製品の採用を決めたのが2009年9月。その直後から、システムの導入作業が進められ、2010年4月に稼働開始しました。これを機に、原料の受入れから計量、そしてタンクへの投入といったプロセスについて、システムによる管理が実現されることとなりました。
「現状では、従来の紙ベースでのチェックも並行して実施しています。まだ移行段階といえますが、現在の作業が工程の中のどの状態にあり、どの原料をどれだけ計量し投入すべきかが端末画面上にすべて示され、オペレータはそれに従って、正確なタイミングで適正に作業を進めていける形となりました。その結果、作業ミスが発生する可能性も最小限に抑えられています」(玉利氏)
「システムの導入はミスの根絶に向けたオペレータの意識向上にもつながっています。また、特に多品種生産を行う当工場では、オペレータが様々な商品・製品についての原料を把握していなければならず、本来は相応の経験とノウハウが要求されます。今回、そうした部分もシステムで補うことができたため、製造ライン間での柔軟なオペレータの配置が可能になったということも大きな成果です」(近藤氏)
![計量された原材料は、投入するタンクごとにパレットにまとめられる。タンクへ移動する際に、原材料に添付されたバーコードをPDA(携帯情報端末)で読み込み、スーパー管理食へデータを送信。使用すべき原材料に間違いがないか照合、確認するとともに進捗(しんちょく)の管理を行う。](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_378/img/nou_378_03.jpg)
計量された原材料は、投入するタンクごとにパレットにまとめられる。タンクへ移動する際に、原材料に添付されたバーコードをPDA(携帯情報端末)で読み込み、スーパー管理食へデータを送信。使用すべき原材料に間違いがないか照合、確認するとともに進捗(しんちょく)の管理を行う。
![事務所に設置されたスーパー管理食の端末。同じものが各現場にも設置されており、作業内容の確認が行える。](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_378/img/nou_378_04.jpg)
事務所に設置されたスーパー管理食の端末。同じものが各現場にも設置されており、作業内容の確認が行える。
![事務所に設置されたスーパー管理食の端末。同じものが各現場にも設置されており、作業内容の確認が行える。](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_378/img/nou_378_05.jpg)
事務所に設置されたスーパー管理食の端末。同じものが各現場にも設置されており、作業内容の確認が行える。
フードディフェンスの導入により、安全管理上の対策もさらに強化
![群馬工場で製造されているポッカの主力商品群。](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_378/img/nou_378_06.jpg)
群馬工場で製造されているポッカの主力商品群。
さらに、スーパー管理食導入の約1年後、群馬工場では、調合タンクの原料投入口を必要時以外、機械的にロックしておくというフードディフェンスの仕組みも導入しています。
「製造規模の大きさもあり、調合タンクの中に飲料が滞留している時間も長いため、その間の異物混入といった事故を確実に防止する対策が安全管理上必須でした。工程の進捗(しんちょく)を管理しているスーパー管理食との連携により、適切なタイミングで投入口をロックまたは解除するという仕組みも実現できました」(和田氏)
今後、群馬工場では、味にかかわる調合工程の管理をさらに充実させるため、原料溶解タンクへのフードディフェンス機能の追加などを検討しています。
「今回、当工場において実現された仕組みを名古屋工場に横展開することで、作業ミスの防止や効率的なオペレータ配置の実現といったメリットを名古屋工場でも追求していける可能性があります」(近藤氏)
「アズビルには今後も、操業の効率化に向け、様々な角度からの提案を期待しています。加えて、食品・飲料業界における製造工程のシステム化の最新情報やノウハウなども併せて紹介してもらえればと思います」(三枝氏)
用語解説
※1 MES(Manufacturing Execution System)
製造業における受注から製品の製造、出荷に至る生産活動のトータルな最適化を支援するシステム。製造状況の把握や実績の記録のほか、作業手順の標準化といった面でも役立てられ、現場作業の効率化や品質向上に貢献する。
お客さま紹介
![株式会社ポッカコーポレーション 生産本部 群馬工場 工場長 三枝 裕昭氏](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_378/__icsFiles/afieldfile/2021/07/30/nou_378_08.jpg)
生産本部
群馬工場
工場長
三枝 裕昭氏
![株式会社ポッカ コーポレーション 生産本部 群馬工場 製造課 マネージャー 近藤 崇氏](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_378/__icsFiles/afieldfile/2021/07/30/nou_378_09.jpg)
生産本部
群馬工場
製造課
マネージャー
近藤 崇氏
![株式会社ポッカコーポレーション 生産本部 製造品質グループ 群馬 課長代理 和田 武司氏](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_378/__icsFiles/afieldfile/2021/07/30/nou_378_10.jpg)
生産本部
製造品質グループ
群馬
課長代理
和田 武司氏
![株式会社ポッカコーポレーション 生産本部 群馬工場 製造課 係長 玉利 信一氏](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_378/__icsFiles/afieldfile/2021/07/30/nou_378_11.jpg)
生産本部
群馬工場
製造課
係長
玉利 信一氏
株式会社 ポッカコーポレーション 群馬工場
![](https://www.azbil.com/jp/case/aac/nou_378/__icsFiles/afieldfile/2021/07/30/nou_378_07.jpg)
株式会社 ポッカコーポレーション 群馬工場
株式会社 ポッカコーポレーション 群馬工場
- 所在地/群馬県伊勢崎市境東新井1301-1 境北部工業団地
- 操業開始/1991年2月
- 事業内容/飲料、食料品の製造販売、仕入れ販売ほか
この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2012年06月号に掲載されたものです。