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岡山県美作市

町村合併による水道事業の統合に伴い、
各地区の水道施設の運転管理一元化を推進

岡山県北東部の5町1村の合併により発足した美作市。合併に伴い、旧町村が運営してきた水道事業を統合しました。これまで個別に行われてきた水道施設運転管理業務について、三つの浄水場を相互監視・制御できるシステムを構築。これと併せて各地区の配水池やポンプ場、水源などの水道の場外施設についても運転管理の一元化を実現しました。運転管理業務の迅速化や人的負荷軽減、さらには監視・制御システムのデータ通信に市が敷設した市内LANを利用することでコスト削減を図るなど、大きな成果を上げています。

工場・プラント分野 上・下水道 コスト削減 安定稼働 稼働改善 運転監視・制御システム&ソフトウェア 調節計(温調計)/記録計

導入製品・サービス

旧町村が個別実施してきた水道施設管理の統合化を目指す

岡山県の北東部に位置する美作(みまさか)市は、2005年3月31日に勝田(かつた)郡勝田町、英田(あいだ)郡美作町・大原町(おおはらちょう)・作東町(さくとうちょう)・英田町・東粟倉村(ひがしあわくらそん)の5町1村の合併により発足しました。氷ノ山後山那岐山(ひょうのせんうしろやまなぎさん)国定公園などの豊かな緑と美しい景観、美作三湯の一つである湯郷(ゆのごう)温泉など、観光資源にも恵まれており、関西、中国地方を中心に多くの観光客が訪れています。特に近年では、女子サッカー日本代表「なでしこジャパン」の主将である宮間あや選手や、ゴールキーパーとして代表に定着している福元美穂選手が所属する岡山湯郷Belle(ベル)の本拠地としても知られています。

「旧町村で稼働していた監視システムは老朽化しており、既に部品の調達が難しい状態でした。加えて、水道事業において町村合併のさらなる効果を追求していくためには、各町村が個別に行っていた浄水場やそれに付帯する場外施設の運転管理業務自体を統合化していく必要がありました」(妹尾氏)

美作市ではまず、旧美作、英田、作東の三つの地域で運営されている水道施設を対象に、監視・制御システムの統合を決定。3地区で相互に設備の監視・制御が行える仕組みの構築を目指すとともに、タブレット機器を導入し、担当者がいつでもどこからでも運転管理業務が行える体制も併せて整備することにしました。

綿密な工事計画の立案に基づき、スムーズなシステム更新を実現

美作浄水場内の中央監視センター。設置されたIndustrial-DEOから美作浄水場、英田浄水場、松脇浄水場、およびそれらに付随する場外施設の監視・制御が行えるようになっている。

美作浄水場内の中央監視センター。設置されたIndustrial-DEOから美作浄水場、英田浄水場、松脇浄水場、およびそれらに付随する場外施設の監視・制御が行えるようになっている。

2014年2月、旧町村において水道施設の監視・制御システムを担当していたベンダーを中心に、一般競争入札を実施しました。その結果、高信頼オープン・オートメーション・システム Industrial-DEO™および計装ネットワークモジュール NXなどを用いた監視・制御の統合化を提案していたアズビル株式会社に決定しました。

「アズビルは、旧大原町、東粟倉村の水道施設において監視・制御システムを長く担当してきた実績もあり、大きな安心感がありました」(菊池氏)

決定後すぐ旧美作、英田、作東の3地区で現状調査が行われ、実際の工事は2014年8月から進められました。

「今回対象となった施設の中には、既存監視システムの図面などの資料がないものもありました。ライフラインである水の供給を止めることなく監視・制御システムを置き換えるためには、機器構成や配線を含め現状を一から調査しなければならないという課題を抱えていたのです。調査は非常に手間と時間を要する作業でしたが、アズビルが地道な取組みで課題を克服してくれました」(菊池氏)

「水道は日々の住民生活に欠かせない大切なインフラです。いかなることがあっても、サービスの供給が滞ることは許されません。工事についてもアズビルが綿密な計画を立案し、夜間作業を含めた対応により、断水などの問題は一切なく工事を完了へと導いてくれました」(中村氏)

美作市水道施設の監視・制御システム

相互監視機能、タブレット導入により、施設管理の人的負荷を大幅軽減

美作地区にある中山加圧ポンプ場内に設置されている計装ネットワークモジュールNX。ポンプ場内の機器の状態や流量などの運転データを住民サービス向けLANを介して美作浄水場側の監視・制御システムに送っている。

美作地区にある中山加圧ポンプ場内に設置されている計装ネットワークモジュールNX。ポンプ場内の機器の状態や流量などの運転データを住民サービス向けLANを介して美作浄水場側の監視・制御システムに送っている。

2015年3月にはすべての工事が終わり、三つの地域の浄水場と場外施設を統合的に監視・制御できる仕組みが稼働しました。美作浄水場を中央監視センターと位置づけてIndustrial-DEOの大型監視画面を設置し、常時オペレータを配置して3地区を統合した運転管理体制が整いました。英田、作東の浄水場については、通常時は無人運転とし、両地区の総合支所にIndustrial-DEOの監視画面を中央監視センターと同じように見ることができるパソコンを設置しました。三つの地点のいずれからも、すべての設備の監視・制御が行えるほか、異常発生時には担当者の業務用携帯電話に警報メールが送信されます。

「地区を超えた一元的な運転管理業務が可能になりました。作東の既存システムでは、監視のみでポンプなどの発停操作ができず、何かあれば現場へ行って手元操作を行う必要がありました。新しいシステムでは、各浄水場、各総合支所に設置されたシステムで、どこからでも発停操作を実行することができます」(万殿氏)

さらに、今回新たにタブレット機器を導入したことで、様々なシーンで効果が表れています。

「先日、落雷によってある場外施設がダメージを受けるという問題が生じ、担当者が現場に急行して部品を交換しました。このような場合、今までは2人1組となり、一人が現場へ赴き作業を行い、もう一人はセンターにいて連絡を取りながら、運転が正常に復旧したことをシステムの画面で確認していました。しかし今回は、タブレットを現場へ持参することで、手元のタブレット上で中央監視システムの画面を見ることができるため、データが確実に上がってきているかなど、現場ですぐに状態を確認することができました。担当者の運転管理負荷の軽減や確認スピード向上に貢献しています」(万殿氏)

「そのほか、新人担当者が夜間の監視に当たるケースでも、ベテランの管理者がタブレットを持ち帰って、自宅で中央監視画面を参照し、必要に応じて電話で現場に指示をするといったサポート体制も取れるようになっています」(渡辺氏)

今回の取組みにおいて美作市では、監視・制御システムの通信インフラを、一部を除き従来のアナログ専用回線から、市が運営する住民サービス向けLANを利用する形に変更しました。その結果、セキュリティを確保しながら、回線利用料金を大幅に削減できたという成果も出ています。

今後、管内にある残りの勝田地区、大原地区、東粟倉地区の浄水場および場外施設についても、今回構築したシステムに取り込み、統合的な運転管理が行えるよう進めていきます。

「水道施設にかかわる運転管理業務統合化の推進は、自治体にとって切実な課題であるコスト削減にも応えるものです。アズビルには、持ち前のスピーディかつ手厚いサポート体制により、今後も当市の水道施設のスムーズで安定的な運営に貢献してくれることを大いに期待しています」(妹尾氏)

タブレットの活用により、場外施設などでの点検および現場でトラブル対応などを行った際にも、その場で即座に設備の運転状況を確認することができる。

タブレットの活用により、場外施設などでの点検および現場でトラブル対応などを行った際にも、その場で即座に設備の運転状況を確認することができる。

お客さま紹介

岡山県美作市役所
環境部
部長
妹尾(せのお) 昌弘 氏
岡山県美作市役所
環境部
上水道課
課長
中村 一成 氏
岡山県美作市役所
環境部
上水道課
課長補佐
菊池 広幸 氏
岡山県美作市役所
環境部
上水道課
係長
渡辺 浩治 氏
岡山県美作市役所
英田総合支所
業務管理係
係長
万殿(まんどの) 直樹 氏

岡山県美作市

岡山県美作市役所 環境部

  • 所在地/岡山県美作市栄町38-2
  • 発足/2005年3月31日
  • 業務概要/浄水場・加圧ポンプ・配水池の維持管理、原水・浄水の水質検査・保全、水道用水の供給など

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2015 Vol.6(2015年12月発行)に掲載されたものです。

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