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トゥア・ティエン・フエ省水道公社 Quang Te 2 浄水場

監視制御システムによる薬品注入制御で、浄水場の水質の改善と安定化に貢献

2001年、トゥア・ティエン・フエ省水道公社は、「安全な水道水プロジェクト」に着手しました。その後も市民への安全な水を供給する活動は継続され、2009年8月にはフエ省全域に『安全な水宣言』を出しました。2013年には、日本企業のサポートを受けて新たなプロジェクトが立ち上がり、そのプロジェクトの一環として、フエ省水道公社はQuang Te 2浄水場に薬品注入自動制御システムを導入。薬品注入工程を自動化して薬品の注入量を適切に制御し、水質管理の改善に役立っています。

工場・プラント分野 上・下水道 安全・安心 海外 運転監視・制御システム&ソフトウェア

導入製品・サービス

Harmonas-DEO

Harmonas-DEO(英文サイトへリンク)

日本の技術支援を得ながら、さらなる水道水の安全性向上を目指す

ベトナム中部に位置するトゥア・ティエン・フエ省(以下「フエ省」)。その省都であるフエ市は、ベトナム最後の王朝であるグエン朝の都が置かれた街として知られています。王朝時代の面影を伝える宮殿を中心とした建造物群は、ユネスコの世界遺産(文化遺産)にも指定されており、国外から訪れる観光客も年々増加しています。

2007年、フエ省水道公社は世界保健機関(WHO)の協力の下、「安全な水」計画を実施し、現在もフエ省全域に安全な水を提供しています。フエ省水道公社はWHOに高く評価され、フエ省を含むベトナム国内にその経験を広めるためのモデル企業に選ばれました。以降、フエ省水道公社は持続的かつ安全な水の供給を維持するために、着実に水の供給体制を改善し、質を向上させています。

「フエ市においては2008年6月、フエ省全域においては2009年8月に『安全な水宣言』を出しました。2009年から現在に至るまで、時には安全な水の供給を脅かす問題に直面したこともありましたが、確実に安全な水を供給し続けるための解決策をタイムリーに投入してきました」(Nam氏)

2013年には横浜市にある民間企業の新しい技術を、フエ省水道公社やベトナムのそのほかの水道会社に伝えることを目的に、独立行政法人 国際協力機構(JICA)が展開する草の根技術協力事業「横浜の民間技術によるベトナム国『安全な水』供給プロジェクト」がスタートしました。

自動的に適正な薬品量をタイムリーに注入するシステムを構築

「横浜の民間技術によるベトナム国『安全な水』供給プロジェクト」では、SCADA*1システムによるデータ管理技術」「非開削工法による配水管改良技術」「漏水探知による無収水対策技術」「砂ろ過による除濁・除マンガン」の四つの領域を支援します。その中の「SCADAシステムによる管理」の技術支援を担当したのがアズビル株式会社でした。具体的には、フエ省水道公社のQuang Te 2浄水場の薬品注入工程を自動化し、水質の管理に必要な薬品を適正量注入するための薬品注入自動制御システムを導入するとともに、システム運用に関する技術的なサポートも提供しました。

同浄水場では、浄水処理の各段階でPAC、ポリマー、過マンガン酸カリウム、塩素などの薬品を注入します。

「2009年にQuang Te 2浄水場に設置した既存監視システムによる薬品注入は半自動制御で、注入量はまだ手動で制御していました。そのため、時に注入量が必要量と合わず、生産コストが増加し、水質にも影響していました」(Tuan氏)

今回のプロジェクトでは、新たな薬品注入自動制御システムの中核にアズビルの監視・制御システム Harmonas-DEO™を採用しました。既存監視システムのデータをゲートウェイを介して取り込み、注入すべき薬品量を算出、薬品注入プロセスの制御において適正な量とタイミングで薬品が自動的に注入されるよう制御します。

システムの構築に当たり、フエ省水道公社の技術者3人が日本に派遣され、アズビルの藤沢テクノセンターでシステムの研修を受けました。自動制御の基礎技術を習得した3人の技術者とアズビルとの協力体制で、現地での制御プログラムの構築を進めました。

中央監視室に設置されたHarmonas-DEO。着水井(ちゃくすいせい)で受け入れる水の流量や濁度などの状態を監視し、薬品注入用ポンプの回転数やコントロールバルブの開閉を制御している。

中央監視室に設置されたHarmonas-DEO。着水井(ちゃくすいせい)で受け入れる水の流量や濁度などの状態を監視し、薬品注入用ポンプの回転数やコントロールバルブの開閉を制御している。

Harmonas-DEOの薬品注入量演算により、指令を受けて稼働する薬品注入用ポンプとコントロールバルブ。

Harmonas-DEOの薬品注入量演算により、指令を受けて稼働する薬品注入用ポンプとコントロールバルブ。

多くのベトナム自治体の水道関係者が、先進的取組みに強い関心を寄せる

システムは2015年6月に稼働を開始。Harmonas-DEOに蓄積されるデータの詳細な評価や、それに応じた施策の本格的展開はまだこれからですが、システム導入による成果は既に表れています。

「四つの領域を含めた本プロジェクトを実施した2年間で、Quang Te 2浄水場の薬品注入自動制御システムは一定の効果を上げています。この評価はアズビルの先進技術や横浜市水道局(YWWB)のエキスパートの経験を活かして、フエ省水道公社の技術チームが行いました。薬品注入自動制御システムは、薬品の適正量を決める煩雑な処理や、注入作業にかかる手間や時間を大幅に削減し、浄水場における水質の制御改善に貢献しました」(Tuan氏)

「本プロジェクトでは、JICA、YWWB、アズビルの協力を得て、Quang Te 2浄水場の既存監視システムに薬品注入自動制御システムを無事接続することができました。また、公社ではさらに多くの機械や機器に投資をし、運転の最適化を確実なものにしました」(Long氏)

2015年6月には、「横浜の民間技術によるベトナム国『安全な水』供給プロジェクト」のセミナーが公社本社で実施され、システム構築の事例を含め、四つの領域における各取組みの内容が紹介されました。

「セミナーにはベトナム全土の40の自治体から、水道事業関係者約200人が参加しました。Quang Te 2浄水場における薬品注入自動制御システム構築の事例は、参加者の間で先進的な取組みとして大きな関心を呼び、高く評価されました」(Long氏)

フエ省水道公社は、公社が管理するほかの浄水場にも類似のシステムを導入する予定です。

「これからフエ省水道公社は、中央制御センターを設置して水供給システムを監視・運用していく予定です。アズビルには、人材育成や機械に関する支援を期待しています」(Nam氏)

分析計は、導管から引いた水を分析して薬品注入濃度、濁度、水質を決定し、そのデータをHarmonas-DEOに送信、これに基づきHarmonas-DEOは制御を行う。

分析計は、導管から引いた水を分析して薬品注入濃度、濁度、水質を決定し、そのデータをHarmonas-DEOに送信、これに基づきHarmonas-DEOは制御を行う。

フエ省水道公社から派遣された3人の技術者に対し、アズビルの藤沢テクノセンターでトレーニングが行われた。

フエ省水道公社から派遣された3人の技術者に対し、アズビルの藤沢テクノセンターでトレーニングが行われた。

※Harmonas-DEO はアズビル株式会社の商標です。

用語解説

※1 SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)

産業系の制御システムの一種。プラント・工場の製造プロセスや生産設備など、コンピュータで監視・制御を行う。

 

お客さま紹介

トゥア・ティエン・フエ省水道公社
局長(総裁)
Truong Cong Nam 氏
トゥア・ティエン・フエ省水道公社
技術計画部
部長
Chau Ngoc Long 氏
トゥア・ティエン・フエ省水道公社
技術計画部
副部長
Luu Ngoc Tuan 氏

トゥア・ティエン・フエ省水道公社 Quang Te 2 浄水場

トゥア・ティエン・フエ省水道公社
(Thua Thien Hue Construction and Water Supply State One Member Co., LTD)

  • 所在地/103 Bui Thi Xuan Str., Hue City, Vietnam
  • 創設/1909年
  • 事業概要/浄水場、ポンプステーションなどの維持管理、水道用水の供給など

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2016 Vol.6(2016年12月発行)に掲載されたものです。

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