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株式会社ナカニシ A1工場

製造現場のオイルミスト削減を推進
作業環境の改善が生産性向上とブランディングに貢献

歯科医療用回転機器の領域で世界をリードするナカニシ。海外での製品需要拡大を見据え、生産能力向上を目指し新工場を設置した同社では、作業環境改善のため、電気集塵機を活用して製造現場のオイルミスト削減に取り組みました。その結果達成されたクリーンな作業環境により、作業員のモチベーションが向上するなど生産性の向上に貢献。同社を訪れるお客さまからの評価も高く、ブランドイメージを高めることにもつながっています。

工場・プラント分野 その他(市場・産業) 安全・安心 快適 電気集塵機

製造現場の"美しさ"を追求。安全衛生、ブランド力の強化を目指す

1930年の創業以来、高速回転技術を核に、歯科医療機器、工業用切削・研削機器、外科医療機器などの分野で各種製品を提供している株式会社ナカニシ。「革新的削るテクノロジーによる美しい進歩の創造」をミッションとして、高度な技術力の追求のみならず、"美しい進歩"をも追い求めるという独自の哲学に基づき事業を展開しています。

特に歯科医療用回転機器(ハンドピース)の領域において同社は、1分間に45万回転という超高速回転を達成する製品を世に送り出すなど、その技術力はグローバル市場において高い評価を獲得。同社製品は世界135カ国・地域のユーザーに利用されています。連結売上高の比率を見ても、国内市場に比べて高い成長を期待できる海外市場での販売が約80%(2018年12月期)を占めており、同社のビジネスは成長の一途をたどっています。

ナカニシでは、そうした海外市場に向けた生産能力の強化を念頭に、「A1」と呼ばれる工場の新設に着手。日本で製品を生産することにこだわり、グローバル生産拠点として栃木県の鹿沼地区に新設した工場で同社が目指したのが、ミッションにうたわれる"美しさ"の追求でした。

「特にマシニングセンタ※1やCNC旋盤※2など金属加工機械を多用する当社の製造現場は、切削油の利用に伴う空気中へのオイルミスト※3の飛散が避けられません。それによって床や設備が汚れ、現場に油の臭いが充満するなど、従業員の健康や安全操業の面での問題の要因となります。その解消には、いかに製造環境にも“美しい進歩”を創造していくかということが重要な決め手となるわけです」(岡村氏)

「また当社には、週に数回という頻度で海外からのお客さまが訪れます。扱う製品が医療用機器ということもあり、どういう姿勢で、またどのような環境でモノづくりに取り組んでいるかということが製品の信頼度に大きくかかわります。我々の製造現場を、オイルミストが極めて少ない清潔・清浄な環境に保つことは、お客さまの信頼に足るブランドイメージを確立する上でも重要な課題でした」(阿久津氏)

オイルミストに関して同社では、以前から既設工場に電気集塵機(しゅうじんき)を導入して、対策を行ってきました。そこでは日本産業衛生学会が勧告値とする工場内のオイルミスト含有量3.0mg/m³といった数字を十分にクリアしていました。

「しかし、今回のA1工場においては、その値を0.3mg/m³にまで低減することを目標に設定し、製造現場の清潔さ、清浄さをより高いレベルで達成していくことを目指しました」(岡村氏)

既設工場内での事前調査に基づく緻密な提案内容に大きな安心感

ナカニシでは、A1工場で採用する集塵機の検討に着手。候補に挙がった複数社の製品に対して、油煙発生機を用いた同一の環境下で稼働させ油の回収率を検証するといった実機試験を行いました。その結果、2017年7月に同社が採用を決めたのが、アズビルトレーディング株式会社が提供する工業用屋内電気集塵機 オイルミストコレクター TRIONでした。

「アズビルトレーディングは事前調査として、既設工場内の56カ所でパーティクルカウンターと粉塵濃度計を用いて空気清浄度の計測を行いました。その結果に基づき、A1工場において当社が掲げる0.3mg/m³以下という目標の達成に必要な集塵機の台数、1時間当たりに必要な換気回数などを詳細に検証し、提案してくれました。そうした緻密な対応には大きな安心感がありました」(阿久津氏)

2017年12月から翌2018年2月にかけてA1工場に72台を設置。同年3月のA1工場操業開始に合わせ、TRIONも運用を開始しました。

「既設工場の天井つり下げ型電気集塵機では、集塵された油の回収に高所作業台を使うなど、大きな作業負荷が伴っていました。A1工場ではアズビルトレーディングから、この作業を安全に、容易にするためのドレン排出が提案され、油がたまったことを目で見て確認して、簡単に排出作業ができるような仕組みを作り込んでくれました。これだけの量の油が空間を舞っていたのかと大変驚きました」(古田土氏)

「回収された油は、再度作業用の切削油としてリサイクルされます。また、TRIONの採用により集塵機のフィルタ交換作業も不要となり、併せてコスト削減も実現しました」(磯氏)

A1工場に設置された天井つり下げ型のTRION。工場の4エリアに計72台を導入。マシニングセンタなどから発生し、空気中に浮遊するオイルミストを集塵し、清浄した空気を工場内に循環させている。

A1工場に設置された天井つり下げ型のTRION。工場の4エリアに計72台を導入。マシニングセンタなどから発生し、空気中に浮遊するオイルミストを集塵し、清浄した空気を工場内に循環させている。

工場壁際に設置されたドレン排出器。TRIONで集塵されたオイルミストはドレン管を通ってここにたまる。

工場壁際に設置されたドレン排出器。TRIONで集塵されたオイルミストはドレン管を通ってここにたまる。

快適な作業環境の実現によって現場作業員の生産性向上を実現

操業開始6カ月後の計測では、A1工場の各製造現場における空気中のオイルミスト含有量の全体平均が、0.18mg/m³と、当初設定した厳しい目標値を大幅にクリアしています。同社を訪れるお客さまからも、金属加工の製造現場とは思えない、きれいな環境に驚きの声が上がっているとのことです。

「現場の作業員もオイルミスト低減の効果を体感しています。空気の清浄感が増して快適な環境で作業が行えることで、各人のモチベーションが向上し動きも良くなりました。また、機器のメンテナンスや清掃作業も軽減され、その時間を本来の作業に向けることができるため生産性の向上にもつながりました」(磯氏)

さらにアズビルトレーディングは、A1工場の各製造現場におけるTRIONの負荷状況を把握し、各エリアでのメンテナンス計画をナカニシに提案。同社にとっては、そうしたことも今後のTRIONの運用に向けて大きな安心感につながっているといいます。

「工場新設に際して掲げた厳しい目標値をクリアできたことを踏まえ、これから我々が目指していこうとしているのが、集塵機の稼働にかかわる電力消費の削減です。今回導入したTRIONにはインバータが装備されているので、清浄度が高いエリアについては運転レベルを少し緩めるなどして、省エネ実現についても検討していきたいと考えています」(阿久津氏)

「今回の取組みを通して、常にユーザー目線に立った支援を貫いてくれたアズビルトレーディングには、今後も我々が思いつかないような“美しい進歩”の創造に寄与する提案を大いに期待しています」(岡村氏)

※TRIONは、Johnson Controls, Inc. a Wisconsin Corporationの製品です。

用語解説

※1 マシニングセンタ

自動工具交換機能を持ち、目的に合わせてフライス加工・中ぐり加工・ねじ立てなどの異種の加工を1台で行える工作機械。主に切削加工を目的としており、工具マガジンには様々な切削工具を格納。コンピュータ制御によって工具を自動的に交換して加工を行うことができる。

※2 CNC旋盤

コンピュータの数値制御による機械加工であるCNC加工で用いられる旋盤。

※3 オイルミスト

工作機械での切削加工に際して、工具と加工物である金属の間の摩擦抑制、冷却を行うために用いられる水溶性切削油などが加工の過程で霧状になって空気中に飛散したもの。

 

お客さま紹介

株式会社ナカニシ A1工場 執行役員 生産部門担当 岡村 茂樹 氏
株式会社ナカニシ
A1工場
執行役員
生産部門担当
岡村 茂樹 氏
株式会社ナカニシ A1工場 加工部 工機課 マネージャー 阿久津 雅和 氏
株式会社ナカニシ
A1工場
加工部 工機課
マネージャー
阿久津 雅和 氏
株式会社ナカニシ A1工場 加工部 加工2課 軸加工係 係長 古田土 怜(こだと さとし) 氏
株式会社ナカニシ
A1工場
加工部 加工2課
軸加工係 係長
古田土 怜
(こだと さとし)氏
株式会社ナカニシ A1工場 加工部 NC課 CNC2係 係長 磯 知志(いそ さとし) 氏
株式会社ナカニシ
A1工場
加工部 NC課
CNC2係 係長
磯 知志
(いそ さとし)氏

株式会社ナカニシ A1工場

株式会社ナカニシ A1工場

  • 所在地/栃木県鹿沼市深程990
  • 設立/1953年(1930年創業)
  • 事業内容/超高速回転技術を核とした歯科医療用機器、外科医療用機器、一般産業用機器の開発・製造・販売

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2019 Vol.5(2019年10月発行)に掲載されたものです。

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