Usina Coruripe Plant Campo Florido Unit
様々な仕様のバルブに共通して使えるポジショナを採用、生産プラントの稼働率向上に加え人的負荷の軽減にも寄与
世界を代表する砂糖の生産国ブラジルで創業し、100年近い歴史を誇るUsina Coruripe。ブラジル国内に複数の工場を所有し、砂糖・エタノールの生産を続ける中で、バルブポジショナの故障が時々発生していました。あらゆるメーカー・様々な仕様のバルブでも利用可能で、高品質かつ信頼性の高いバルブポジショナを採用することで、プラントの安定的な操業はもちろん、修理コスト・人的負荷の削減を実現しました。
工場・プラント分野 食品 コスト削減 安定稼働 稼働改善 海外 コントロールバルブ(調節弁)/操作端
導入製品・サービス
砂糖・エタノール生産工程のバルブポジショナの故障が課題に
世界最大の砂糖生産国であるブラジル。多くの日系企業が進出するなど、日本とは経済的にも深いつながりを持っています。Usina Coruripe(ウジーナ コルリッペ) は、20世紀初頭の1925年、同国アラゴアス州の南海岸に位置するコルリッペ市に設立。サトウキビを原料とした製糖業者として事業を拡大しながら、一方では自動車の燃料に使用されるエタノールの生産事業もスタートさせ、今では砂糖・エタノール生産においてブラジル国内の10大企業の一つとなるまでに成長を遂げています。また、サトウキビの絞りかすを燃料に地球にやさしいエネルギーとして「バイオマス発電」を行っており、主に自社プラントの稼働電力として使用しています。
同社の主要プラントの一つであるCampo Florido Unit(カンポ フロリド ユニット)は、年間440万トンのサトウキビ処理能力を有しています。生産した砂糖は国内・海外マーケットへの販売のほか、自社製品としても販売しており、Coruripeマークが付いたものはミナスジェライス州、アラゴアス州などで主に家庭用として流通しています。
同ユニットの、砂糖・エタノール生産工程には、発酵、サトウキビから原料を絞った後のかすの処理、乾燥、煎糖、結晶、精糖などがあり、その設備で稼働しているバルブをコントロールしているポジショナの故障が多く、修理を必要とする確率が高くなっていました。ウジーナ コルリッペでは同様の生産工程を有する工場を国内各所に複数所有しているため、全社として課題を抱えていました。
「故障のたびにプラントを止めなくてはならず、プラントの稼働率も下がった状態でした。この状況を受け、複数メーカーのポジショナについてテストを行い、故障が少なく費用対効果の良いものの検討を続けていました」(Wilson Angelo de Menezes Junior氏)
自社製品としても販売している家庭用の砂糖。
信頼できる製品の選定で生産性の向上と人的負担軽減を実現
シラップ(シロップ)を煮詰めて結晶を作る(煎糖、結晶)工程で、シラップの流量をコントロールするバルブに取り付けられたアズビルのスマート・バルブ・ポジショナ。バルブによって形が違う取付板を用いて設置されている。
複数メーカーのポジショナの検討を行う中、アズビル株式会社のスマート・バルブ・ポジショナについても、実際のデモンストレーションを通じて、その品質、費用対効果の検証を行いました。プラント内ではブラジル国内メーカーはもちろん、海外製も含めて複数のバルブメーカーのものが稼働しています。ポジショナが故障してしまうと、それぞれのメーカーに対して修理依頼をしなくてはならず保守の現場では大きな負担となっていました。アズビルのスマート・バルブ・ポジショナは、カンポ フロリド ユニットで使用されているアズビル以外のメーカーの様々な仕様のバルブにも取り付けられることや、製品の品質、費用対効果が最も優れていた面が評価され、2018年6月に採用を決定。同年7月、スマート・バルブ・ポジショナおよび他社製の既存バルブに設置するための取付板10セットを導入し、稼働を開始しました。
「プラントの計装エアそのものの品質を上げる努力はもちろんしていますが、水や油の混入を完全に防ぐことはできません。運用していく中で、他社製のポジショナに比べ、アズビルのポジショナ* は故障もなく稼働し続けています」(Wilson Angelo de Menezes Junior氏)
さらにバルブメーカーによってポジショナの設置・調整操作が異なるため、作業スタッフはすべての種類の操作を覚えなくてはなりません。これに対して、アズビルのポジショナはどのメーカーのバルブにも取り付けられるため、一つの設置・調整操作を覚えることですべてのバルブに対応することが可能となります。
「プラント全体でポジショナが標準化されていれば、作業スタッフの負荷軽減が可能です。アズビルのポジショナは故障しにくく、メンテナンスも簡単、作業スタッフへの負担も少ないことから、まだ稼働して1年ほどですが厚い信頼を寄せています」(Cacinildo Silva氏)
故障がなくなったことによって修理費用が削減できたことに加え、ポジショナの標準化ができたことで交換作業も短時間で済みます。そのため、プラントを停止する時間も短くなり、プラントの稼働率が向上しました。
「最も大切なことは設備が稼働を継続できることです。そのためには故障しないことが大前提です。砂糖・エタノールの生産工程は7~8カ月間稼働し、4~5カ月間の稼働停止中に定期修理を行うというサイクルで動いています。稼働中の7~8カ月の間にポジショナなどが原因で設備が停止してしまうと、生産効率に多大な影響が出てしまいます。アズビルのポジショナに替えることで稼働率・生産効率を上げることができました」(Geovani Araujo da Silva氏)
蒸気放流弁に取り付けられたアズビルのスマート・バルブ・ポジショナ。
*ポジショナは、電気・電子部品部と空気回路部を隔壁構造(電空回路分離)としており、計装空気などに含まれる油分・水分が、電気・電子部品に影響を与えるリスクを低減している。
継続的・安定的な操業を目指し、積極的に製品の導入を検討
プラントの稼働率・生産性の向上や人的負荷の軽減などの成果に加え、現場の効率的な稼働に向けて有効活用されているのが、トレーニング用キットです。
「トレーニング用キットは、作業スタッフが立ち上げ操作などを覚えるのに非常に役立ちました。実際にポジショナを取り付ける前のテスト用としてもこのキットを使用したため、安心して実際の作業に臨むことができました」(Cacinildo Silva氏)
「今後も引き続きプラント全体の生産性向上を目指し、プラントの拡張工事に合わせてアズビルのポジショナを追加導入する予定です。また、併せてほかのプラントへの展開も検討しています。納入後の対応も良く、製品の信頼性も非常に高いためアズビルにはパートナーとして今後も我々の事業をサポートしてくれることを期待しています」(Wilson Angelo de Menezes Junior氏)
社内トレーニング用キット。
お客さま紹介
Campo Florido Unit
工場長
Geovani Araujo da
Silva 氏
Campo Florido Unit
電気・自動化
メンテナンス
コーディネータ
Wilson Angelo de
Menezes Junior 氏
Campo Florido Unit
計装スーパーバイザ
Cacinildo Silva 氏
Usina Coruripe Plant Campo Florido Unit
Usina Coruripe Plant Campo Florido Unit
- 所在地/Fazenda Santa Adelaide, Estrada Cruzeiro do Sul, Km 42. CEP: 38130-000–Campo Florido/MG
- 稼働開始/2002年
- 事業内容/砂糖、エタノール、飼料、フーゼル油の製造・販売
- 所在地/Fazenda Santa Adelaide, Estrada Cruzeiro do Sul,
Km 42. CEP: 38130-000–Campo Florido/MG - 稼働開始/2008年
- 事業内容/バイオマス発電および売電
Coruripe Energética Campo Florido Unit
この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2020 No.2(2020年04月発行)に掲載されたものです。