ライオン両国ビル
BEMSを導入し、築43年を迎える中規模ビルの省エネルギーを実現
「環境対応先進企業」を目指すライオン。省エネルギーに真摯(しんし)に取り組んできたライオン両国ビルにBEMSを導入し、設備の稼働状況やフロア別の使用電力量などの「見える化」を実現。さらなる建物の長寿命化やライオン社員の省エネルギーに対する意識の啓発に貢献しています。
建物分野 オフィスビル 快適 省エネルギー エネルギーマネジメント 安定稼働 稼働改善 老朽化対策 クラウド・IoT・AI 中央監視システム センサ・計測機器 ビル向けクラウドサービス 建物のエネルギーマネジメント
導入製品・サービス
エネルギー使用状況を把握し、ビルのさらなる省エネ対策を推進
ライオン株式会社は、歯磨きや洗剤をはじめとする人々の暮らしの中で利用される製品を提供していますが、「水と一緒に使用する製品」が多いことから、地球環境問題が大きくクローズアップされる以前から、業界に先駆けて水環境に配慮した製品開発を進めてきました。2012年に策定した経営ビジョンの中では「環境対応先進企業を目指す」を掲げました。
「ライオン独自のエコ基準を設け、環境に優しいエコ商品を消費者にお届けすることを使命に、環境コミュニケーションを推進しています。そして、ライオンとライオングループの社員に対し、CSR報告書や環境関連イベントなどを通じエコ意識を高めるための啓発活動を続けています」(羽鳥氏)
ライオンビジネスサービス株式会社は、ライオン両国ビルをはじめ3カ所でビルを保有。自社のビルメンテナンス業務だけではなく、オールライオンのファシリティマネジャーとして不動産管理の充実を目指しています。1971年に竣工(しゅんこう)し、築43年になるライオン両国ビルは、ライオンの営業部門が入居している10階建て(延床面積:8,447.7m²、空調方式:中央熱源方式)のオフィスビルです。2011年に発生した東日本大震災を契機に、「安全」と「節電」の確保を中長期修繕計画の具体的な目標に設定し、耐震対応を実施。併せて、照明のLED化、遮光フィルムの導入など様々な工夫を重ね省エネ効果を上げてきました。
「ライオン両国ビルのさらなる省エネ対策を進めるには、詳細なエネルギー使用状況を把握し、データに基づく効果的な対策の計画・実施が重要になります。これまでライオン両国ビルにはBEMS※1がなく、フロア単位での使用電力量や動力/照明/コンセントでの内訳も把握できていませんでした」(五味氏)
ライオン両国ビルの設備運転管理や室内環境管理を担う株式会社日本管財サービスでは、省エネ施策の実施という面では、できるところをほとんどやり尽くしており、限界のところまで来ていました。
「ビルの効果的な管理を行い、さらなる省エネ効果を上げるために、BEMSの導入に向けて調査・検討を行ってきました。アズビル株式会社の自動制御機器を使っていたこともあり、アズビルの担当者に知恵を借りながらビルオーナーであるライオンビジネスサービスへ提案準備を行いました」(川本氏)
BEMSによる詳細な運用データ把握で設備運転の効率化と快適な室内環境を実現
室内形温度/湿度センサ ネオセンサ™ワイヤレス。計測したデータを電波でRF受信機に伝送する。間仕切り変更などで設置場所を変えるときなども、大きな配線工事をすることなく移設が可能。
室内形温度/湿度センサ RF受信機。ネオセンサワイヤレスで計測したデータをRF受信機で受信。建物管理システムでモニタリングすることができる。
ビルの管理を行っている日本管財サービスの提案に基づき、2013年夏にアズビルの建物管理システム savic-net™FX2がBEMSとして採用され、2013年12月から稼働を開始しました。
フロアごとに電力量計を設置し、フロア単位での使用電力量や熱源機・空調機などの動力/照明/コンセントについて用途別使用電力量をBEMSで把握できるようにしました。これにより、適切な省エネ対策を進めるために、エネルギーの使用量を“見える化”する仕組みが整いました。室内温度計測についても、各フロアに2カ所ずつセンサを設置することで居室内にいる人の快適性を損なわずに空調機の間引き運転を行うなど、省エネルギーを図ることが可能となりました。
また、ライオン両国ビルではこれまで電力デマンドについても目視と手動での管理を行っており、夏の暑い時季など4台ある冷凍機がフル稼働したときには契約値を超えてしまうことがありました。
「BEMSを導入したことで、デマンド目標値を超えそうになると警報で通知されます。冷凍機など登録機器の運転を停止して電力デマンドを自動制御して、契約値超過を防ぐことができるようになりました」(服部氏)
今回導入したBEMSは、2013年に実施された経済産業省のエネルギー管理システム導入促進事業費補助制度および、東京都の中小テナントビルのエネルギー管理支援サービス普及促進事業助成の採択を受けています。
「ビルを60年間使い続けるための中長期修繕計画を検討する中で、アズビルは設備の運転と省エネ対策で改善すべき項目を具体的に示しながら説明してくれました。また、BEMS導入のメリットについて、補助制度の情報を含め適切な助言も受けました」(五味氏)
管理室に置かれたsavic-net FX2の監視画面。各空調機の運転状態やフロアの室内温度・湿度などが確認できる。
使用電力量が内訳ごとにリスト表示されている。
長く大切にビルを使い続ける、築40年以上のビルに横展開を期待
SaaS/ASP型 見える化/省エネ/省CO2アプリケーション Web-Infilex™モニタリング画面。1カ月の電力量使用状況が棒グラフで一覧できる。
BEMSを導入して自動制御をするようになってから、居室内にいる社員からの暑い、寒いといった連絡が少なくなり、連絡が入ったとしても管理室から居室の環境がすぐに確認でき速やかに対応できるようになったといいます。
「現在、BEMSで収集した毎月の運用データの分析は、アズビルが協力してくれています。プロの視点からの報告は、今後の運用改善のヒントになりますし、ライオン社員を巻き込んだ省エネ活動の材料に活用することもできます」(川本氏)
「今後、熱源の更新も予定しています。ビルを60年間使い続けるために、データに基づく効果的な対策立案、設備の見直し実施などにアズビルのアドバイスを活用していきたいと思います」(服部氏)
築40年を超えるビルでも、BEMSなどの設備を導入することで居住者の快適性を維持しながら、さらに長く使い続けることができるようになりました。
「ほかのビルにも、当ビルでの取組みを展開していきたいと思います。アズビルはいろいろな疑問に実に明快に答えてくれました。今後の設備改修工事などについてもアズビルの力添えに期待しています」(五味氏)
用語解説
※1 BEMS(Building Energy Management System)
ビルなどの建物内で使用する電力使用量などを計測蓄積し、導入拠点や遠隔での「見える化」を図り、空調・照明設備などの接続機器の制御やデマンドピークを抑制・制御する機能などを有するエネルギー管理システム。
お客さま紹介
営業部
総合ビル管理担当
シニア・アドバイザー
五味 國起 氏
CSR推進部
環境保全推進室
副主任部員
羽鳥 桂子 氏
東日本本部
第二事業部
東京営業所
両国出張所
所長
服部 敏尚 氏
東日本本部
第二事業部
東京営業所
両国出張所
川本 正寿 氏
ライオン両国ビル
ライオンビジネスサービス株式会社
- 所在地/東京都墨田区本所1-3-7
- 設立/1961年6月(2001年7月、ライオンウェルフェア株式会社と合併し、ライオン不動産株式会社から現社名に変更)
- 事業内容/ビル管理業・不動産業および保険代理業
この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2014 Vol.6(2014年12月発行)に掲載されたものです。