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特別養護老人ホーム 白寿苑

入居者の“家”である介護施設
配慮が求められる更新工事を経て大幅なエネルギー削減を実現

2015年に、開設20周年を迎えた特別養護老人ホーム 白寿苑。同施設では省エネルギーの取組みを支援する国の導入支援制度を活用し、省エネ対策と並行しながら、老朽化していた熱源・空調設備を更新しました。その結果、エネルギーの削減目標値を大幅に上回る12.8%の削減を実現。導入支援制度活用によりイニシャルコストを最小限に抑えながら、設備の安定運用に加え、ランニングコストの適正化に成功しました。

建物分野 その他(市場・産業) 省エネルギー エネルギーマネジメント コスト削減 安定稼働 老朽化対策 中央監視システム ダイレクトデジタルコントローラ 建物のエネルギーマネジメント

導入製品・サービス

簡易監視システム SmartScreen

熱源管理用デジタルコントローラ PARAMATRIX4

熱源管理用デジタルコントローラ PARAMATRIX4

熱源最適化コントローラ PARACONDUCTOR パラコンダクタ

熱源最適化コントローラ PARACONDUCTOR パラコンダクタ

地域への貢献を第一に高齢者向け福祉サービスを展開

地域福祉の推進に向け、大阪市西成区で福祉事業を展開する社会福祉法人 白寿(はくじゅ)会。同法人が1995年に開設した白寿苑は、200人以上の生活を支援する特別養護老人ホームとしての役割に加えて、デイサービスや訪問介護、在宅介護相談、生活支援型の食事提供など、様々な福祉サービスを提供する高齢者支援の拠点にもなっています。

白寿苑は、地域と深く結びつき、地域の利用者ニーズに応え続ける中でサービスを充実させてきました。社会福祉法人の使命として民間事業者ではサポートできない人々の受入れにも努めるなど、地域福祉を下支えする存在になることを目指しています。

同施設は2010年から本館の熱源設備更新に向けて検討を開始しました。1995年の竣工(しゅんこう)以来、本館の冷暖房の熱源として2台の吸収式冷温水発生器を利用してきましたが、使用期間が15年を超えたころから故障が頻発するようになりました。また各フロアに設置されたファンコイルユニットについても老朽化に伴い補修部品の供給が難しくなり、補修コストや安定運用の面で課題が表面化してきました。

さらに2011年の東日本大震災以降は、エネルギーコストの上昇に伴って省エネ対策が求められるようになりました。特にガス単価は2010年時点の価格の2倍にまで跳ね上がっており、コスト抑制のために熱源運用を効率化する必要が出てきました。

国の導入支援制度を活用し、老朽化設備の更新と省エネルギーを提案

本館屋上に設置されたGHPチラー。PARAMATRIX 4の熱源機台数制御を用い、需要量に応じた台数だけ稼働させることで無駄なエネルギー消費を省く。さらに稼働データを熱源最適化コントローラ PARACONDUCTOR™(パラコンダクタ)で収集している。

本館屋上に設置されたGHPチラー。PARAMATRIX 4の熱源機台数制御を用い、需要量に応じた台数だけ稼働させることで無駄なエネルギー消費を省く。さらに稼働データを熱源最適化コントローラ PARACONDUCTOR™(パラコンダクタ)で収集している。

白寿苑は熱源設備の更新に当たり、同施設の空調・熱源設備の保守業務を長期にわたり担当していたアズビル株式会社に相談を持ちかけました。

「更新計画当初、熱源システムをガス・電気のどちらにするのがよいのかなど、コスト面を含めベストな案を決定するのが難しい状況でした。そんな中、アズビルからは様々な角度からの提案や資料提供があり、最終の決断をすることができました。対応・発想が柔軟で一緒に検討できたことを非常に心強く感じました。さらに100冷凍トン※1の吸収式冷温水発生器2台を、20冷凍トンのGHP(ガスヒートポンプ)チラー※210台に更新するという数社の提案に対して、アズビルだけが他社提案の半分の5台で運用が可能だという提案でした。加えて国の導入支援制度を活用し、更新工事に合わせて導入コストを最小限に抑える施策を提示してくれました」(藤井氏)

一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)※3のエネルギー使用合理化事業者支援事業※4の申請を前提にESCO事業※5として取り組むことを決定。2013年6月に申請を行い、8月に採択されました。複数社による入札の結果、更新工事の担当事業者にアズビルが選ばれました。

アズビルの提案はGHPチラーを5台で運用するというものでしたが、白寿苑の要望により夏季のピーク負荷を考慮し6台での運用と決定しました。熱源管理用デジタルコントローラ PARAMATRIX™(パラマトリクス)4による熱源台数制御で、負荷側の要求に応じてGHPチラーの台数制御を行うことで、実際の運用では多いときで3台がローテーションで稼働しています。また、補修部品の調達が難しくなっていたファンコイルユニットについては本館の160台を更新し、集中管理が可能となるように簡易監視システム SmartScreen™を導入しました。

「熱源が従来の半分程度の能力で十分という提案に驚きましたが、アズビルには保守業務を通じて建物をよく知ってもらっているという安心感がありました。申請手続きや問い合わせへの対応も、豊富な実績や情報を持つアズビルのバックアップでスムーズに対処することができました」(藤井氏)

館内の居室や廊下の天井に埋め込み設置されたファンコイルユニット。本館内の160台を更新した。

館内の居室や廊下の天井に埋め込み設置されたファンコイルユニット。本館内の160台を更新した。

ファンコイルユニットは、SmartScreenで集中管理し、温度設定の一括変更や消忘れの防止を行い、快適性の向上と省エネルギーの両立を図っている。

ファンコイルユニットは、SmartScreenで集中管理し、温度設定の一括変更や消忘れの防止を行い、快適性の向上と省エネルギーの両立を図っている。

施設特有の事情に配慮して工事を進行、目標値を大幅に上回る省エネ化を実現

熱源と空調設備の更新工事は2013年10月から12月末にかけて実施しました。その作業に当たっては、24時間365日、常に生活の場として利用される介護施設の事情を考慮する必要がありました。

入居者にとって居室は家そのものです。そこに何人もの人間が工事で立ち入れば、ストレスから精神的に不安定な状態となり不測の行動を取るおそれがあるため、慎重な対応が必要です。また、入居者が部屋にいないということは基本的にありません。工事調整が困難であることが予想される中、介護スタッフと工事担当者が綿密に連絡を取り連携して仕事を進めることが必要でした。

「工事着手当初は、『作業現場』として捉えているアズビルの担当者と『居住スペース』と認識している介護スタッフとの連携がうまくいかないことが多くありましたが、アズビルは施設側の要望を考慮し、その都度対応・修正しながら、できるだけ介護の現場に影響の出ないように連携して更新工事を進めてくれました。その結果、予定どおりの短期間で工事を終えることができました。これは普段から当施設に足を運び、保守を行っているアズビルでなければできなかったと感じています」(藤井氏)

設備更新による省エネ効果は確実に表れています。2014年2月~2015年1月の1年間の使用エネルギー(原油換算)の削減量はエネルギー使用合理化事業者支援事業で設定した目標値11.4%を大きく上回り、12.8%の削減を実現しました。

今後も床暖房やボイラなど、既存設備の更新の検討も進め、コスト削減とエネルギー利用の最適化を目指していきたいと考えています。

「介護施設では特に熱源・給湯などの重要設備は安定稼働が求められます。一方では限られた予算の中で、保守や更新のための資金を十分に捻出できない現状があります。アズビルには、私どもの費用対効果を最大化する取組みにおいて、老朽設備を更新するタイミングの判断や、導入支援制度の活用などへの協力を今後も期待しています」(藤井氏)

※PARACONDUCTOR、PARAMATRIX、SmartScreenは、アズビル株式会社の商標です。

用語解説

※1 冷凍トン(Refrigerating ton)

冷凍機の能力を表す場合に用いる単位。1冷凍トンとは1日(24時間)に1トンの0℃の水を氷にするために除去すべき熱量のこと。

※2 GHP(ガスヒートポンプ)チラー

ガス炊き式ヒートポンプ(Gas engine driven Heat Pump)を利用して空調用の熱をつくり出す設備。ガスでエンジンを駆動して室外ユニット内の圧縮機を動かす仕組みで、電気エアコンに比べ消費電力が少なく、排熱を暖房に活用できる利点がある。チラー(chiller)は、施設の空調熱源や産業装置の温度を一定に保つ装置の総称。

※3 一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII/Sustainable open Innovation Initiative)

広く環境・エネルギー分野において社会的に必要とされる技術革新を促進し、開かれた議論を行いながら国内の知見を活用して、社会システムやプロジェクトを組成することを目的に設立された法人。「技術の先端性」「省エネルギー効果」「費用対効果」を踏まえて政策的意義が高いと認められる省エネ事業に対して国庫補助金の交付を行っている。

※4 エネルギー使用合理化事業者支援事業

環境共創イニシアチブ(SII)が事業者の計画した省エネルギーへの取組みに関し、「技術の先端性」「省エネルギー効果」「費用対効果」を踏まえて政策的意義が高いと認めた設備導入についての支援を目的とした補助制度。

※5 ESCO事業

工場やビルの省エネルギーに関する包括的なサービス提供を通じて、そこで得られる効果をサービス提供者が保証する事業。資金を顧客が負担し、ESCO事業者が省エネ保証を行う「ギャランティード・セイビングス契約」と、ESCO事業者が資金提供を行い、顧客は省エネ効果を含めたサービス料を支払う「シェアード・セイビングス契約」という二つの契約形態がある。

 

お客さま紹介

社会福祉法人 白寿会 総務部 総務課 課長 藤井 学 氏
社会福祉法人 白寿会
総務部
総務課
課長
藤井 学 氏

特別養護老人ホーム 白寿苑

社会福祉法人 白寿会

  • 所在地/大阪府大阪市西成区南津守7-12-32
  • 設立/1994年
  • 事業内容/特別養護老人ホーム、ケアハウスの施設運営、各種介護サービスの提供、地域住民向け介護相談の実施など

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2015 Vol.3(2015年06月発行)に掲載されたものです。

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