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水口センチュリーホテル

老朽化による設備更新を省エネ事業として展開。
地方銀行も参画したESCOや国の補助制度の活用で、投資とリスクを最小化

滋賀県甲賀(こうか)市に1991年に設立された水口(みなくち)センチュリーホテル。同ホテルでは、空調や給湯にかかわる設備の更新を契機に、省エネルギー施策に着手しました。地元の滋賀県に基盤を置く滋賀銀行も参画したESCO事業や国の補助制度を活用し、投資やリスクの最小化を実現。成果面でも目標値を上回る省エネ効果を上げています。

建物分野 ホテル 快適 省エネルギー コスト削減 老朽化対策 中央監視システム 建物のエネルギーマネジメント

導入製品・サービス

簡易監視システム SmartScreen

開業後20年を経て設備が老朽化。早期更新に向けた検討に着手

古くは東海道五十三次の50番目の宿場として栄えた滋賀県甲賀市水口町。今も歴史を感じさせる町並みが残り、昔の街道の面影が随所に見られます。この地に1991年に設立された水口センチュリーホテルは、客室110室、大小の宴会場や会議室、レストランといった充実した設備を備え、年間約3万6000人の宿泊客が訪れます。客室の平均稼働率は85%と、ビジネス客や観光客に高い人気を誇っています。

ホテルが開業して20年以上が過ぎ、空調や給湯といった設備の老朽化が目立つようになりました。

「維持・管理に多大なコストがかかっている状況で、冷温水発生器やボイラなどの設備更新を検討していました。そんなとき、取引のある滋賀銀行から紹介されたのがアズビル株式会社でした」(藤澤氏)

アズビルの提案は、単純に設備を最新機器に置き換えるだけでなく、省エネルギーに関する国の補助制度を利用し、省エネ実現を念頭に置いた事業として進めてはどうか、というものでした。

「もともと当ホテルでも、省エネルギーの取組みには関心が高く、隣接する川に水車を設置して小電力水力発電を行い、庭のイルミネーションの電力に活用していました。アズビルからの提案は、ぜひ積極的に検討したいと考えました」(藤澤氏)

灯油式冷温水発生器から置き換えられた高効率空冷ヒートポンプチラー

灯油式冷温水発生器から置き換えられた高効率空冷ヒートポンプチラー。灯油価格の変動が大きいため、電気式に更新することで価格が安定し経費負担も軽減された。また、灯油の取扱いをやめることで危険物取扱者を選任する必要がなくなった。

灯油ボイラから置換えを行った給湯を賄う業務用エコキュート

灯油ボイラから置換えを行った給湯を賄う業務用エコキュート。

ESCO事業での展開により、投資にかかわるリスクを極小化

SmartScreenのモニタ

ホテル事務所に設置された。施設内のエネルギーの消費動向を監視できるようになっており、電力デマンドが設定値を超えそうな際にはアラーム音が鳴る。

検討の結果、滋賀銀行が融資を行い、アズビルが省エネ工事を実施するギャランティード・セイビングス契約のESCO事業※1としての展開が決定しました。併せて、国土交通省が実施する建築物省エネ改修推進事業※2に申請することになりました。

「実績とノウハウを持つだけあり、アズビルからの提案は大変納得できるものでした。しかも、ESCOによって投資リスクがほとんどないということに非常に大きな魅力を感じました」(林氏)

「補助制度の申請業務は、膨大な書類の提出を求められるなど非常に煩雑で、しかも専門的なノウハウが必要でした。しかし、アズビルの全面的な支援のおかげで無事採択され、今回の投資額の3分の1を補助金で賄えることになりました」(林氏)

今回の施策では、空調設備を従来の灯油式の冷温水発生器から高効率空冷ヒートポンプチラーに置き換えるとともに、最新のパッケージエアコンを導入。給湯設備は、従来の灯油ボイラから業務用エコキュートに更新しました。また、客室内部を除く共有部の照明をLEDに置き換えました。

さらに、BEMS※3としてアズビルの小規模中央監視装置 SmartScreen™(スマートスクリーン)を導入したほか、総合エネルギー管理サービス tems™も活用。施設のエネルギー消費動向を常時アズビルに送信して、設備の運用状況や省エネ効果などの必要なレポートが得られるような体制を整えました。

「工事の実施では、ホテルを利用されるお客さまに影響が出ないことを第一に進めました。停電を伴う電源の切替え工事のために1日休業したことを除けば、すべて通常営業の中で行ったにもかかわらず、適切な工事管理のおかげで、お客さまからのクレームもほとんどありませんでした」(藤澤氏)

高効率パッケージエアコン

玄関脇のラウンジの吹抜け天井に設置された高効率パッケージエアコン。フィルタの清掃時には、足場を組む必要はなく、エアコンが下まで降りてくる仕様になっている。

廊下など共用部の照明はすべてLEDに置き換えられている。

廊下など共用部の照明はすべてLEDに置き換えられている。

建設が予定される別館では設計段階から省エネルギーを考慮

実際の工事は2014年10月から着手し、翌2015年1月に完了。当初、省エネ率15%を目標に据えていましたが、運用約半年後の実績では、目標値をさらに1割程度上回る効果が得られています。

また、SmartScreenによってエネルギーの消費動向が可視化できるようになったのも、大きな成果だといいます。

「特にデマンド管理をリアルタイムに行えるようになったことが大きいと思います。例えば、夏場などに電力の利用がかさんでデマンド値に達しそうになると、アラーム音が鳴ります。これにより、滞在されているお客さまに影響のない事務所などバックヤード側の電気機器の電源をオフにするといった対応を迅速に行うことができます。さらに、エネルギーの消費動向が見える化され、従業員の省エネ意識を高めることにもつながっています」(林氏)

今後も、同ホテルではBEMSに蓄積される履歴データやアズビルから提供されるレポートなども積極的に活用して、さらなる省エネルギーへの取組みを進めていきたいと考えています。

「当ホテルでは近く、敷地内に別館建設を予定しています。そこでも、アズビルに参画してもらい、設計段階から設備の省エネルギーに取り組んでいきたいと思います」(林氏)

「今回の取組みに関する我々の満足度は高く、省エネ施策に頭を悩ませている地元の事業者にもアズビルを紹介しました。地域を挙げて省エネルギーを強力に推進していくことが、ひいては国が取り組むエネルギー政策への貢献になるものと確信しています」(藤澤氏)

※SmartScreen、temsはアズビル株式会社の商標です。
※エコキュートは関西電力株式会社の商標です。

用語解説

※1 ESCO(Energy Service COmpany)事業

工場やビルの省エネルギーに関する包括的なサービスの提供を通じて、そこで得られる効果をサービス提供者が保証する事業。資金の担保などを顧客が提供し、顧客が一切の償還義務を負う「ギャランティード・セイビングス契約」と、ESCO事業者が一切の資金提供を行い、顧客が償還義務を負わない「シェアード・セイビングス契約」という二つの契約形態がある。

※2 建築物省エネ改修推進事業

既存建築物ストックの省エネ化の推進および関連投資の活性化を目的に、民間事業者などが建築物に対して行う省エネ改修工事・バリアフリー改修工事に対し、国が事業の実施に要する費用の一部について支援するというもの。改修前と比較して建築物はおおむね15%以上の省エネ効果を見込めることなどが要件となる。補助率は3分の1。

※3 BEMS(Building and Energy Management System)

ビル、工場、地域冷暖房といったエネルギー設備全体の省エネルギー監視・制御を自動化し、建物全体のエネルギーを最小化するためのシステム。

 

お客さま紹介

水口センチュリーホテル株式会社 代表取締役社長 藤澤 富美雄 氏
水口センチュリーホテル株式会社
代表取締役社長
藤澤 富美雄 氏
水口センチュリーホテル株式会社 取締役総支配人 林 初広 氏
水口センチュリーホテル株式会社
取締役総支配人
林 初広 氏

水口センチュリーホテル

水口センチュリーホテル株式会社

  • 所在地/滋賀県甲賀市水口町名坂170-1
  • 設立/1991年4月
  • 業務内容/宿泊、レストラン、宴会、貸室など

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2015 Vol.5(2015年10月発行)に掲載されたものです。

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