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日本赤十字社 和歌山医療センター

運用改善を基軸に省エネ施策を加速、着実かつ継続的に拡大する成果を享受

和歌山県の中核病院として地域医療に貢献する日本赤十字社 和歌山医療センター。同病院では、本館の新築を機に本格的な省エネルギーの取組みを推進。空調・熱源設備の運用改善を主体に、病院内の環境を快適に維持しつつ省エネルギーを実現するというバランスを取りながら省エネ施策を順次展開していくことで、病院が消費するエネルギーの着実かつ継続的な削減を実現しています。

建物分野 病院 快適 省エネルギー 安定稼働 中央監視システム

導入製品・サービス

建物管理システム savic-net FX

本館の新築を絶好の契機と捉え、本格的な省エネ施策に乗り出す

日本赤十字社 和歌山医療センターは、1905年4月に日本赤十字社 和歌山支部病院として設立。以来、110年以上にわたり、「人道、公平、中立、独立、奉仕、単一、世界性」という赤十字社の基本精神に基づく地域医療活動を展開してきました。1986年には、和歌山県内の病院としては初めての救命救急センターが設置され、数多くの命を救ってきました。またその後、和歌山県災害医療センターにも指定されており、地震や津波、台風などの災害発生時には、県の要請により傷病者の受入れや医療救護班の派遣などを行うという役割を担っています。現在では、38診療科部、47専門外来が設置され、年間約49万6,000人の延べ外来患者と約23万4,000人の延べ入院患者の診療に当たっています。

同病院では、2011年に最新の設備・機能を備えた新しい本館が竣工しました。これを機に病院全体での省エネ施策の強化に取り組みました。

「旧本館は築50年を超えており、建替えが想定されていたため、高効率な機器の導入など、大掛かりな省エネ施策には乗り出せないままでいました。新本館の竣工は、本格的な省エネルギーの取組みを推進する絶好の機会でした」(中川氏)

ビル管理業務の体制再編で、省エネ施策の展開を加速

中央監視室に設置されたsavic-net FXのモニタ画面。

中央監視室に設置されたsavic-net FXのモニタ画面。

今回、同病院が本格的な省エネ施策を行う要因の一つに、省エネ法*1の第一種エネルギー管理指定工場に指定されていることが挙げられます。

「省エネ法の適用を受けている以上、必要な法定書類を整え、法制で定めるエネルギー低減義務を果たすことはコンプライアンス上、不可欠です。しかし、当病院だけの力で対応するのは困難であり、しかるべき専門家の助力が必須であると考えました」(絹川氏)

そこで、一緒に省エネ施策に取り組んでくれるパートナーの選定に向けて、検討を開始しました。その結果、同病院が選んだのがアズビル株式会社です。

「本館と同じ敷地内の南館に、アズビルの中央監視システムを導入済みだったことが理由の一つです。また、アズビルは建物の設備管理の実績が豊富で大きな安心感があったこと、多岐にわたる省エネ施策の提案があったことなどが採用の決め手となりました」(中川氏)

早速、アズビルの建物管理システム savic-net™FXを新築された本館に導入するとともに、設備の運用改善を支援するエネルギーソリューションサービス、現場の運用データを収集して解析し運用状況をレポートするリモートメンテナンスサービスをそれぞれ契約。設備運用の改善を核とする省エネ施策に着手しました。

1年目に当たる2011年度は、まず省エネ法への対応業務に軸足を置き、設備機器の棚卸しによるリストや法定書類の作成、点検表を含む管理標準の策定を行いました。2年目以降は、熱源の温水2次ポンプに搭載されたインバータの調整やファンコイルユニットの運用改善、空調機の温度設定の調整、外調機の間欠運転制御など、設備そのものを交換するのではなく今あるものの運用を改善して省エネルギーを実現するという様々な施策を順次実施していきました。

「特にそれまで連続稼働していた外来棟の外調機を、棟内の繁閑状況に応じて間欠運転するという手法は、大きな省エネ効果を上げました。運転のチューニングに当たっては、アズビルが室内のCO2濃度を計測。しっかりとした裏付けの下に適正な制御を実現してくれました」(上野氏)

この一連の運用改善活動の成果を受けて、2014年からはビル管理業務全般をアズビルに委託。アズビルが常駐担当者を同病院に置くとともに、これまで以上に細やかなビル管理業務ができる体制を整えました。

「単にビルの管理業務をこなすのではなく、アズビルの担当者が、省エネルギーを実現するための高い目的意識を持ってチームを統率しています。これによって、確実に効果の上がるベストな体制が整ったと考えています」(中川氏)

写真左から、南館地下に設置されている冷水チラー(電気)、吸収式冷凍機(蒸気)と南館屋上に設置された空冷ヒートポンプチラー(電気)。空冷ヒートポンプチラーを主熱源とし負荷に合わせて台数制御を行う。また、故障時も考慮し、複数台構成で運用されている。

想定を上回る省エネ効果を踏まえ、新たなプロジェクトにも着手

一連の施策による成果は確実に得られています。取組みがスタートした2011年度から2015年度までの各年度において、原油換算量で前年比2.9~7.5%のエネルギー削減を実現しました。つまり、省エネ法が定める1年当たり1%削減という要求を、各年度において大幅に上回る結果です。

さらに、和歌山医療センターでは、2015年9月に南館熱源設備の更新にも着手。アズビルの提案により、環境省のASSET事業*2に基づく補助制度として実施しました。

「高効率機器による省エネルギーの追求はもちろん、ガスと電気によるエネルギーのハイブリッド化で相互にバックアップし、災害などの非常時でも、決して空調運転を途切れさせないようにしています」(絹川氏)

この工事は2016年2月に完了。同病院ではあらかじめ設定した省エネ率4.7%という目標の達成に向けての確かな手応えを感じています。

「年に2回行われるアズビルによる報告会では、我々が日ごろ取り組んでいる省エネ活動が数字として表れておりレポートしてもらえるのは非常にありがたい」(中川氏)

「病院は大きなエネルギーを必要とする施設です。患者さんの体調に配慮した快適な病院内環境の実現に加え、省エネルギーも推進することは非常に難しいことです。この課題を実現しつつ、ここ数年で実施してきた一連の取組みによる省エネ効果は、総じて我々の想定を大きく上回るものでした。今後もなお一層の設備運用の改善に加え、アズビルならではの高度な知見に基づく省エネ提案を大いに期待しています」(上野氏)

省エネルギー効果を表す原油換算量推移グラフ

※savic-net、savic-net FXは、アズビル株式会社の商標です。

用語解説

※1 省エネ法

「エネルギーの使用の合理化に関する法律」。工場や事業所が使用するエネルギー量(原油換算)によって「第一種エネルギー管理指定工場等」(年間使用量が原油換算値で3,000kL/年以上)、「第二種エネルギー管理指定工場等」(同1,500kL/年以上3,000kL/年未満)をそれぞれ指定し、エネルギー使用状況届出書、中長期計画書、定期報告書といった法定書類の提出やエネルギー管理統括者等の選任を求めている。

※2 ASSET事業

先進対策の効率的実施によるCO2排出量大幅削減事業設備補助事業。CO2排出量の増加が著しい業務部門などが、先進的な設備導入と運用改善の促進により、CO2排出量大幅削減を効率的に図る制度。先進的温室効果ガス排出抑制設備を含めた設備導入に対して補助を受けることができる(補助率3分の1)。

お客さま紹介

日本赤十字社
和歌山医療センター
管理局 経理部
用度課長
中川 豊 氏
日本赤十字社
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管理局 経理部
用度課
課長補佐
絹川 和孝 氏
日本赤十字社
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管理局 経理部
用度課
課長補佐
上野 修司 氏

日本赤十字社 和歌山医療センター

日本赤十字社 和歌山医療センター

  • 所在地/和歌山県和歌山市小松原通四丁目20番地
  • 設立/1905年4月
  • 事業内容/総合病院(救命救急センター、地域がん診療拠点病院、和歌山県災害医療センター)

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2016 Vol.5(2016年10月発行)に掲載されたものです。

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