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赤坂インターシティAIR

継続的な改善施策の展開で、最高水準の省エネオフィスビルをテナントとともに目指す

ワークプレースとして最高水準の環境性能の実現を目指す赤坂インターシティAIRでは、エネルギーの消費動向や設備の稼働状態を可視化し、データに基づいた省エネルギーの実現に向け、運用改善を継続的に実施しています。テナントへ個々のエリアのエネルギー消費動向情報を提供することで、ビルオーナーとテナントが一体となった省エネ活動の推進が可能となり、CO2排出量削減に大きな成果を上げています。

建物分野 オフィスビル 複合ビル 省エネルギー エネルギーマネジメント コスト削減 メンテナンスサポート 中央監視システム 建物のエネルギーマネジメント

導入製品・サービス

建物管理システムsavic-net FX2

savic-netFX ビルマネジメントシステム

テナントも参加して、ビル全体での省エネ推進を目指す

大使館や外資系企業が林立する東京・赤坂。この地を象徴する建物の一つとなっているのが赤坂インターシティAIRです。地上38階、地下3階のこの建物は、日鉄興和不動産株式会社が展開する大規模複合型オフィスビルのフラッグシップブランド「インターシティ」の五つ目のプロジェクトとして2017年8月に竣工(しゅんこう)しました。ワークプレースとしての環境を高めるため、継続的な取組みにより、高い評価を得ています。

「特に省エネルギーという観点では最高水準の省エネオフィスビルを目指し、建物のオーナーだけではなく入居しているテナントにも参加いただき、ビル全体として取り組んでいけるような仕組みを整備しています」(納氏)

赤坂インターシティAIRの建設段階より、システムの導入から稼働、および建物のエネルギー管理、メンテナンスまで一貫してかかわってきたのがアズビル株式会社です。

「アズビルは、当社が運営するほかの建物でも空調の自動制御などで実績があり、省エネルギーについての高度なノウハウ、知見を持っていることを高く評価していました。赤坂インターシティAIRで効率的なエネルギー管理をしていく上でも、アズビルは重要なパートナーだと思いました」(納氏)

信頼性の高い運用データに基づいて、課題解決に向けた運用改善を実施

防災センターに設置された中央監視システムsavic-net FX2の監視端末。

防災センターに設置された中央監視システムsavic-net FX2の監視端末。

赤坂インターシティAIRでは、竣工時に空調の中央監視システムとしてアズビルの建物管理システム savic-net™FX2、およびsavic-net FX ビルマネジメントシステム(BMS)を導入しました。同ビルは、日鉄興和不動産が特に環境配慮を意識して手がけたプロジェクトです。建物自体が大規模であることに加え、空調の熱源については、地域冷暖房※1やコージェネレーション※2システムを利用しています。さらに多面的なエネルギー利用を念頭に赤坂エリアの他施設と空調用の熱の融通なども行っており、極めて複雑な構造となっていました。このため、ビル竣工後、初年度に取り組んだのが、複雑な熱源のエネルギーフローを可視化することや、省エネ法※3で義務付けられているエネルギー使用の合理化を図るための各種管理標準の作成でした。同ビルでは、アズビルのエネルギー管理支援サービスを利用し、これらの資料作成を進めていきました。

「管理標準やエネルギーフローを自社で作成することは非常に難しいものがあります。アズビルのこれまでのほかのビルにおける知見を基に進めることができたことで現場の設備管理担当者の負担がかなり軽減されました」(納氏)

さらにビル運営面では、アズビルが同ビルに対し半年に1度の頻度でレポートを提出しています。このレポートではsavic-net FX BMSで収集した設備などの運転データを分析し、建物全体でのエネルギー消費動向や設備の稼働状態を可視化することに加え、エネルギー使用上の課題抽出と、その解決策がまとめられています。これを基に日鉄興和不動産、設計会社、建設会社、設備会社、ビル管理会社、そしてアズビルで構成されるCO2削減会議を定期的に実施しています。

「役割の違うそれぞれの立場から、コストパフォーマンス、省エネルギー、快適性の観点で最適解に向けての改善施策の検討や議論を進めています」(大川原氏)

「アズビルからの指摘は、我々や現場の設備員だけでは絶対に気づくことができない部分が多くあります」(納氏)

一方、テナントと一緒に行う省エネルギーの取組みについては、アズビルのテナント向けサービス(エネルギー見える化)を導入し、各テナントから自社エリアのエネルギー消費動向を見える化できる仕組みを構築しました。

「当ビルには、省エネ法の適用を受ける事業者をはじめ、環境対応や省エネルギーに積極的に取り組まれている企業が多く入居しています。各企業から省エネルギーの取組みに関してアドバイスを求められることも多くあります」(大川原氏)

テナント向けサービスの導入により各テナントのパソコンから自社エリアの温度設定や空調運転のスケジュール登録なども行えるようになり、利便性の向上に加え、省エネルギーを意識した空調の設定もテナントから行えるようになりました。

フロアの空調ゾーンと温度計測値を表示したテナント向けサービスの画面。

フロアの空調ゾーンと温度計測値を表示したテナント向けサービスの画面。

多様な機関において高い評価を獲得、グローバルレベルの認証取得を目指す

このような取組みを中心に様々な省エネ施策を展開する赤坂インターシティAIRでは、ビルのCO2排出量削減において着実な成果を上げています。またこうした省エネルギーへの取組みが評価され、2019年にはCASBEE®(ウェルネスオフィス評価認証)※4の最高評価であるSランクを取得したほか、2020年度には省エネ大賞 省エネ事例部門経済産業大臣賞を受賞。2021年度には東京都の環境確保条例におけるトップレベル事業所にも認定されています。

「当ビルでの取組みは、インターシティシリーズをはじめ、当社が運営する各オフィスビルのモデルケースとして位置付け、今後の展開に役立てていく考えです」(納氏)

「現在は、グローバルでのグリーンビルディングの認証プログラムであるLEED®※5の取得に向けて施策を進めているところです。これについても、アズビルのさらなる支援を大いに期待しているところです」(大川原氏)

赤坂インターシティAIRにおけるCO2排出量削減の推移

赤坂インターシティAIRにおけるCO2排出量削減の推移

※savic-net、savic-net FXは、アズビル株式会社の商標です。
※CASBEEは、(一財)住宅・建築SDGs推進センターの登録商標です。
※LEEDは、U.S. Green Building Councilの登録商標です。

用語解説

※1 地域冷暖房

一定地域内の建物群に集中管理された熱供給設備(プラント)から冷水、温水、蒸気を地下の地域導管を通して供給し、建物内の冷房、暖房、給湯などを行う仕組み。供給先ビル側で熱源設備を持つ必要がなく、省エネルギーや環境負荷低減の効果が期待できる。

※2 コージェネレーション

天然ガス、石油、LPガスなどを燃料として発電し、その際に生じる廃熱も同時に回収するシステム。回収した廃熱は、蒸気や温水として、工場の熱源、冷暖房・給湯などに利用でき、高い総合エネルギー効率が実現可能。

※3 省エネ法

「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」。工場や事業所が使用するエネルギー量(原油換算)によって「第一種エネルギー管理指定工場等」(3,000kl/年以上)、「第二種エネルギー管理指定工場等」(1,500kl/年以上3,000kl/年未満)をそれぞれ指定し、エネルギー使用状況届出書、中長期計画書、定期報告書といった法定書類の提出やエネルギー管理統括者などの選任を求めている。

※4 CASBEE(ウェルネスオフィス評価認証)

建物で働く人の健康性、快適性の維持・増進を支援する建物の仕様、取組みを評価するツール。SランクからCランクまでの5段階で格付けする。

※5 LEED(Leadership in Energy&Environmental Design)

非営利団体USGB(U.S. Green Building Council)が開発、運用し、GBCI(Green Business Certification Inc.)が認証の審査を行っている建築や都市の環境の環境性能評価システム。

 

お客さま紹介

日鉄興和不動産株式会社 賃貸事業本部 運用管理部第一グループ グループリーダー 納 おさめ 章太 氏
日鉄興和不動産株式会社
賃貸事業本部
運用管理部第一グループ
グループリーダー
納(おさめ) 章太 氏
赤坂インターシティ マネジメント株式会社 施設マネジメント部 兼 ビル管理部 副部長 大川原 俊之 氏
赤坂インターシティ
マネジメント株式会社
施設マネジメント部
兼 ビル管理部
副部長
大川原 俊之 氏

赤坂インターシティAIR

  • 所在地/東京都港区赤坂1-8-1
  • 竣工/2017年8月
  • 施設概要/地上38階、地下3階、塔屋1階、建築面積16,088.32m²、延床面積178,328.01m²

この記事は2024年06月に掲載されたものです。

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