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東テク株式会社

東テクは、創業当時から営業を続けてきた日本橋の地に2016年12月、グループ本社ビルを新築し、アズビルの中央監視システムを導入しました。アズビルによる竣工(しゅんこう)後2年間の運用データを解析したBEMSレポートに続けてビル向けクラウドサービス EMを活用する社内プロジェクトを立ち上げ、自社の使用エネルギーの解析と制御の改善を実施。プロジェクトで得た快適環境と省エネルギーの知見を自らの事業に活かしています。

建物分野 オフィスビル 快適 省エネルギー エネルギーマネジメント クラウド・IoT・AI 中央監視システム ビル向けクラウドサービス 建物のエネルギーマネジメント セル型空調システム

本社ビルをショールームや社員教育の場として活用

1955年に空調機器の専門商社として創業した東テク株式会社は、空調・計装・エネルギーの三つの事業を展開しており、計装分野ではアズビル株式会社の特約店としてパートナーシップを結び、販売から施工、メンテナンスまでトータルでサービスを提供しています。

同社は2016年12月、創業当時から営業を続けてきた東京・日本橋の地に、地上10階、地下1階の東テクグループ本社ビルを新築しました。新本社ビルでは、環境への配慮を踏まえた省エネルギーとオフィスで仕事をする社員の快適性実現の両立を目指しました。さらに、自社で取り扱っている各メーカーの主力製品や最新のシステムを導入し、社屋をショールームとして活用することや製品の評価をすることに加え、システムの調整や計装技術を社員が習得する場としても利用していくことにしました。空調設備においては、パッケージエアコン※1や全熱交換器※2などを全館に導入。アズビルの中央監視システムsavic-net™FX2が全館の設備運用データを集約し、運転・監視を行っています。

竣工後2年が経過した際に、東テクは本社ビルがどのように運用されているのかを確認するため、それまでに蓄積された運用データを基に、アズビルに省エネ解析を依頼しました。

「アズビルから提出されたBEMS※3レポートでは、時系列、設備別、フロア別、用途別、快適性といった項目で網羅的に分析・評価されていました」(熊澤氏)

本社ビル全体の設備運用データを集約し、運転・監視を行っているsavic-net FX2の画面。アズビルがネクスフォートで制御しているパッケージエアコンの運転状態や温度、湿度、風量(ダンパ開度)、冷温感設定などが監視・制御できる。

本社ビル全体の設備運用データを集約し、運転・監視を行っているsavic-net FX2の画面。アズビルがネクスフォートで制御しているパッケージエアコンの運転状態や温度、湿度、風量(ダンパ開度)、冷温感設定などが監視・制御できる。

社内教育で若手社員を育成。自社ビルの省エネ解析にも活用

アズビルのビル向けクラウドサービス EM(エネルギー管理)が販売開始されたことに合わせて、東テクとしても取引先に展開していくことを視野に入れ、2021年に本社ビルに導入することになりました。

「運用やデータ解析を習熟するための社員向け教育プログラムとして導入しました。研修を行い、そこで得た技術をお客さまの現場へ展開していくことにしました。さらに自社ビルのCO2排出量の解析や省エネ施策検討・実施のためにも活用することになりました」(熊澤氏)

東テクは、BEMSレポートで指摘された課題に着目して検証を行うプロジェクトを発足。アズビルが実施していた解析を、クラウドサービス EMを使って東テクが独自に行える環境が整いました。プロジェクトには、各部門の若手社員が招集されました。オンライン形式の会議を実施する際には、メンバーはオフィス以外の様々な場所から参加し、各自のパソコンからクラウドサービス EMの画面を見ながら、対面と変わりなく作業を進めることができました。

「メンバー各々が業務の合間にグラフを見て作業する場面では、クラウドを利用したWebシステムなので場所や時間を問わずに対応できました。過去のデータにさかのぼることも可能でとても便利でした」(熊澤氏)

クラウドサーバには長期間にわたってデータを保存することができ、操作も容易で、確認したい設備について瞬時にグラフ化することができます。

「打合せ時にその場でグラフの形や見せ方もすぐに変更でき、ディスカッションがスムーズに進みました」(熊澤氏)

ビル向けクラウドサービス EMの画面。外気温度(折れ線グラフ)が高くなると、フロアごとの電力量(棒グラフ)も高くなることが確認できる。

ビル向けクラウドサービス EMの画面。外気温度(折れ線グラフ)が高くなると、フロアごとの電力量(棒グラフ)も高くなることが確認できる。

自社ビルの運用で蓄積したノウハウを、お客さまの現場に活用していく

プロジェクトで得た成果は多く、例えば、運用データの解析を進めていく中で外気取入量制御は、全熱交換器が24時間365日、最低でも1台は動くという設定になっていることが分かりました。

「竣工当初にシックハウス対策として換気していたものが継続して運用されていました。竣工後の年数が経過していることから、運転の必要なしと判断し、外気量取入制御を夜間と休日に止めることで、電気の使用量が1/3になり、大きく無駄を省くことができました」(藤田氏)

エネルギー消費原単位については、都内の同等の事務所ビルと比較して、上位25%以内に入っていることがBEMSレポートで報告されていました。クラウドサービス EMでもこの原単位をベンチマーク(指標)として継続して観察を行っています。

「この指標は独自で計算すると実に大変です。クラウドサービス EMを使うことで簡単に表示されてとても便利です」(藤田氏)

さらに運用面では、3~5階に導入されているアズビルのセル型空調システム ネクスフォート™が、全館統一のパッケージエアコンの制御を行っています。通常は数値で温度の設定をしますが、ネクスフォートでは「もっと涼」「もっと暖」という感覚的に操作を行える仕組みで居住者の快適性の向上を図っています。外から事務所へ帰ってきた際に、事務所内が暑く感じて「もっと涼」の設定を行うと、風量が増えて温度設定も下がり、暑さが落ち着いたころに自動的に設定温度を元の温度に戻してくれます。

「ネクスフォートは、そこにいる人たちの感覚に寄り添って動いてくれます。自分が実際に体感したことや、それを実現するシステム構築をお客さまの現場にも反映していきたいと思います」(藤田氏)

東テクでは、本社ビルで得たノウハウを、全国の社員やお客さまに展開していく予定です。

「カーボンニュートラルの実現が声高に叫ばれるこの社会の中で、アズビルのサービス・製品は、より存在価値が高まっていると考えています。当社もアズビルとともに、より良い社会の実現に寄与してまいります」(堀之内氏)

※savic-net、savic-net FX、ネクスフォートは、アズビル株式会社の商標です。

用語解説

※1 パッケージエアコン

家庭で使用するルームエアコンよりも冷暖房能力が高く、店舗や大型施設で利用される業務用エアコン。

※2 全熱交換器

排気時に捨ててしまう室内の全熱(温度と湿度)を回収し、給気に熱を移して再利用することで、換気時の温度変化を抑えることができる。

※3 BEMS(Building Energy Management System)

ビル、工場、地域冷暖房といったエネルギー設備全体の省エネルギー監視・制御を自動化し、建物全体の使用エネルギーを最少化するためのシステム。

 

お客さま紹介

東テク株式会社 執行役員 経営戦略本部 本部長 堀之内 智明 氏
東テク株式会社
執行役員
経営戦略本部
本部長
堀之内 智明 氏
東テク株式会社 経営戦略本部 サステナビリティ推進グループ 係長 熊澤 弥(わたる) 氏
東テク株式会社
経営戦略本部
サステナビリティ推進グループ
係長
熊澤 弥(わたる) 氏
東テク株式会社 東京計装事業部 東京技術2部 調整グループ 主任 藤田 知朗 氏
東テク株式会社
東京計装事業部
東京技術2部
調整グループ
主任
藤田 知朗 氏

東テク株式会社

  • 所在地/東京都中央区日本橋本町3-11-11
  • 設立/1955年
  • 事業内容/計装事業、エネルギー事業、設備機器販売事業、販売から施工、メンテナンスまでトータルでサービスを提供

この記事は2024年09月に掲載されたものです。

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