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伊丹産業株式会社

LPガス集中監視システムの構築により保安強化と業務合理化を実現

近畿一円を中心に北陸、信州、四国、中国の各エリアにLPガスを供給する伊丹産業。同社では、顧客宅に設置されるガスボンベの配送時期や検針情報、ガス漏れ警報などを集中監視するためのシステムを構築しました。顧客に対するガス供給や保安面にかかわる安心を提供する一方、自社の配送業務や検針業務の大幅な合理化を実現しています。

最新の充填(じゅうてん)システムや、太陽光の設備を有する京都工場。

最新の充填(じゅうてん)システムや、太陽光の設備を有する京都工場。

安定した生活エネルギーの供給を目指しシステム構築に着手

1948年の創業以来、生活に密着した商材の取扱いにより、地域社会や人々の暮らしに貢献してきた伊丹産業株式会社。現在は、LPガス・都市ガスなどを供給するガス事業に加え、石油事業、米穀事業、さらには携帯電話を扱うモバイル事業の各分野でビジネスを展開しています。

多様な事業を展開する中でも、主力事業となっているのが売上の30%以上を占めるLPガス事業です。LPガスは家庭で利用されるほか、公共施設やホテル、飲食店をはじめとする業務用や工業用など、幅広く利用されています。

「LPガスの配送は、担当者の経験則に頼っている状況でした。お客さまの消費傾向を捉え、ガス切れする前にお届けしていましたが、予想外の消費があればガス切れしてしまう事態への懸念もありました。配送担当者は常に大きなプレッシャーを感じていました」(寺田氏)

そこで、顧客宅に設置されたガスボンベの状況を監視し、ガスの残量が一定量になったら通知することで、ガス切れを未然に防止する仕組みができないかと思案。当時、取引のあったガス機器メーカー各社に相談した中で、唯一、開発にチャレンジする意向を表明したのがアズビル金門株式会社でした。

アズビル金門は、電話回線を通じてガスの残量を警報通知する方法を構想し、通信技術に精通していた株式会社日立製作所をパートナーに迎え、3社による協業体制を整えてシステム開発に着手しました。

ガス漏れや非常時のガス遮断など新たな付加価値を提供

ACU集中監視センターに設置されたLPガス集中監視システム ACU24の監視画面。各戸のガスメーター脇に設置されたLPガス集中監視用通信装置からガス切れやガス漏れにかかわる警報、あるいは自動検針の情報などがこの画面を通じて監視員に通知される。

ACU集中監視センターに設置されたLPガス集中監視システム ACU24の監視画面。各戸のガスメーター脇に設置されたLPガス集中監視用通信装置からガス切れやガス漏れにかかわる警報、あるいは自動検針の情報などがこの画面を通じて監視員に通知される。

1986年に完成したのが伊丹産業のLPガス集中監視システム ACU24です。ガス切れ監視機能に加え、自動検針機能、ガス漏れ検知器と連動した異常通知機能といった保安面での付加価値も盛り込まれました。

「お客さまへの展開は1986年3月から始めました。およそ3年ごとに10万戸のペースで展開戸数を伸ばし、2014年12月には累計で90万戸に到達しています。その間、『液化石油ガス法』※1改正への対応として、双方向通信機能を搭載しました。例えば緊急時には、センターからの遠隔操作で供給を遮断できるようになっています」(寺田氏)

構成としては、顧客宅のガスメーター脇にアズビル金門のLPガス集中監視用通信装置を設置し、その通信装置から電話回線を通じてACU集中監視センターに情報を通知します。ガスメーターやガス漏れ検知器から得た警報や検針情報などをACU集中監視センターの監視画面に表示し、監視員に知らせます。通知内容がガスの残量を警告する情報であれば、翌日には所定の伝票が打ち出され、担当者に配送指示が伝わります。

「ガス漏れ警報の場合は、監視員は直ちにお客さまに問い合わせの電話をかけて状況を確認します。万一、お客さまと連絡が取れなければ、近隣の当社事業所の担当者を急行させたり、状況によってはセンターから遠隔による供給の緊急遮断を行ったりすることもできます」(倉津氏)

また、検針情報は月1回など定められた周期で各戸の通信装置からセンター側に送信されます。検針担当者が顧客宅一軒一軒に足を運んで検針を行うという業務負荷が大幅に削減されました。LPガス集中監視システム ACU24の構築により、顧客に大きな安心を提供しながら、同社の配送業務や検針業務の合理化にもつながっています。

LPガス集中監視システム ACU24の概要

LPガス集中監視システム ACU24の概要

地元自治体の要請に応え高齢者緊急通報システムにも活用

顧客宅のガスメーター脇に取り付けられているアズビル金門のLPガス集中監視用通信装置。この通信装置からACU集中監視センターに情報が伝送される。

顧客宅のガスメーター脇に取り付けられているアズビル金門のLPガス集中監視用通信装置。この通信装置からACU集中監視センターに情報が伝送される。

「当社がLPガスを供給しているお客さまのうち、LPガス集中監視システム ACU24を利用していただいているお宅の割合は同種の集中監視システムを導入しているガス会社の中でも高いものと自負しています」(髙木氏)

「リリース後29年の間に、通信インフラについても従来型のアナログ回線からISDN、ADSL、光ファイバー、あるいは無線へと変化してきました。アズビル金門の支援の下、常に新たな技術をキャッチアップしてシステムを進化させてきたことが、高い適用率につながっているものと思います」(倉津氏)

さらにLPガス集中監視システム ACU24の技術は、地元の兵庫県伊丹市が1988年11月から開始している高齢者緊急通報システム事業(通称「QQコール」)からの委託を受け、そのインフラとしても活用されています。在宅の高齢者が緊急時にペンダントのボタンを押すと、アズビル金門の通信装置経由でACU集中監視センターに通知が届きます。すると監視員がその高齢者の親族など、あらかじめ登録された連絡先や近隣の協力員へ緊急対応を要請する体制が実現しました。

「2014年5月には、太陽光発電所を兵庫県赤穂市に開設しました。当社が長年にわたり培ってきた、クリーンエネルギーであるLPガスや天然ガスの供給ノウハウを電力分野にも投入し、総合エネルギー企業としてさらなる躍進を目指しています。アズビル金門には、LPガス集中監視用通信装置の活用に向けたアドバイスなども大いに期待しています」(北嶋氏)

大型ガスメーター KLメーター(左)とSBメーター(右)。検定満期時に回収した大型メーターを新品同様に修理し、会員登録されている次のユーザーの交換メーターとして支給する「大型メーター修理倶楽部 リペクラ(TM)」をアズビル金門が立ち上げた。従来、検定満期時には新しいメーターを購入するなど、非常にコスト高になっていた大型のガスメーターについて、ほかのガス事業者と協力することで環境にも配慮した仕組みづくりを構築した。

大型ガスメーター KLメーター(左)とSBメーター(右)。検定満期時に回収した大型メーターを新品同様に修理し、会員登録されている次のユーザーの交換メーターとして支給する「大型メーター修理倶楽部 リペクラ™」をアズビル金門が立ち上げた。従来、検定満期時には新しいメーターを購入するなど、非常にコスト高になっていた大型のガスメーターについて、ほかのガス事業者と協力することで環境にも配慮した仕組みづくりを構築した。

※リペクラは、アズビル金門株式会社の商標です。

用語解説

※1 液化石油ガス法

正式には「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」。プロパン、ブタン、プロピレンを主成分とする液化ガスの販売、関連ガス器具等の製造および販売等を規制する法律。

 

お客さま紹介

伊丹産業株式会社 代表取締役専務 北嶋 太郎 氏
伊丹産業株式会社
代表取締役専務
北嶋 太郎 氏
伊丹産業株式会社 執行役員 保安部 部長 倉津 克典 氏
伊丹産業株式会社
執行役員
保安部
部長
倉津 克典 氏
伊丹産業株式会社 保安部 次長 髙木 裕則 氏
伊丹産業株式会社
保安部
次長
髙木 裕則 氏
伊丹産業株式会社 電算部 次長 寺田 昌彦 氏
伊丹産業株式会社
電算部
次長
寺田 昌彦 氏

伊丹産業株式会社

伊丹産業株式会社

  • 所在地/兵庫県伊丹市中央5-5-10
  • 設立/1948年1月15日
  • 事業内容/LPガス・都市ガスの製造・販売、米穀販売、石油製品販売など

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2015 Vol.3(2015年06月発行)に掲載されたものです。

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