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那須ハイランド

800万m²の別荘地に広がる水道メーターのIoT化を実現
漏水の迅速な検知や検針作業の人的負担を軽減

栃木県那須町で東京ドーム171個分の広さを持つ那須ハイランド。同別荘地内の別荘の管理・運営などを手掛ける藤和那須リゾートでは、広大な管理地に点在する約1400個の水道メーターの検針作業を3人で丸1カ月かけて行っていました。検針作業の人的負担軽減や社内業務のIT化推進を背景に、同社では遠隔から検針データが取得できる水道用クラウドサービスの導入を決断。2020年12月から無線通信端末の設置が始まり、検針作業の負担軽減や漏水の検知などクラウドサービス導入によるメリットを実感しています。

那須ハイランド

那須ハイランド

生活・環境・その他の分野 レジャー施設 上・下水道 安全・安心 コスト削減 稼働改善 老朽化対策 クラウド・IoT・AI ライフサイクルサポート 水道メーター

導入製品・サービス

管理地内に点在する水道メーター、検針作業の効率化を目指す

栃木県北部に位置し、那須御用邸があることでも知られる那須エリア。日光国立公園内にあり、那須連山・黒尾谷岳の南斜面に広がる約800万m²、東京ドーム171個分に相当する広大な敷地の那須ハイランドは、約5000区画の別荘地を展開しています。同別荘地周辺は、高原リゾート地として遊園地やホテル、飲食店などが立ち並んでいますが、別荘地一帯の開発が始まった1964年当初は建造物がほとんどなかったため、造成工事と併せて水道などのインフラも一緒に整備されました。那須ハイランドの別荘地や別荘の管理・運営、そして各種テーマパークなどを手掛けている藤和那須リゾート株式会社は、全国でも珍しく、民間企業で那須ハイランドの別荘地内の水道事業を担っています。同社は、敷地内5000区画すべてに水が供給できるように水道管を敷設しており、その総延長は約110km。現在は別荘や保養所など約1400軒に配水されています。

那須ハイランドが営業を開始してから50年以上が経過し、敷地内に敷設されている水道管などの設備がかなり老朽化してきており、更新のタイミングを迎えていました。同社は2018年、水道メーターの交換のタイミングで自動検針化ができないかという検討を開始しました。

「当社管理別荘地では、検針作業は半年に1度、行われています。広大な敷地内に点在している1400軒の水道メーターを社員3人で丸1カ月ほどかけて検針していきますが、冬場になると雪が積もって水道メーター自体がどこに設置されているのか分からなくなることも多々あります。世の中のIT化推進の流れもあり、会社からは検針の自動化を検討するように強く指示されました」(纐纈氏)

1日1回の検針により漏水を早期に発見

これに対して、長年にわたって藤和那須リゾートの水道事業を支えてきたアズビル金門株式会社が提案したのは、無線通信技術であるLPWA(Low Power Wide Area)※1を使った水道用クラウドサービスでした。電子式水道メーターが計測した検針値を無線通信端末からクラウドへ送信・管理するというもので、広大な敷地内に点在する水道メーターを巡回しなくても、事務所にいながらにして水道の使用状況を確認することが可能になります。

「当社管理区域は山間部にあるため、標高の高い一部地域では携帯電話がつながらないところもあります。無線化する際の通信環境に不安がありましたが、アズビル金門が事前に区域内の全11カ所について調査を実施し、電波状態が良好であることを確認してくれました」(纐纈氏)

2020年12月、水道用クラウドサービスの導入を順次開始し、無線通信端末の設置作業が完了した水道メーターから、遠隔からの検針が可能になりました。検針値データは毎日収集され、クラウド上のデータベースに蓄積されています。

「自分のパソコンから日付さえ指定すれば、すぐに検針値を確認することができます。毎日、朝一番で前日の全戸の検針値データを閲覧し、異常値がないかを確認しています」(纐纈氏)

那須地域では冬の夜間は氷点下となるため、別荘の宅内給水管の中に水が残っていると凍結して破損し、漏水する恐れがあります。別荘によっては利用者の不在期間中に床が水浸しとなり、気付くのが遅れて大規模修繕に至った事例もありました。

「一般の別荘としては明らかにおかしいと思われる過大な流量を検知しているところについては、管理部門に連絡をして現地へ確認に行ってもらうことで、漏水を早期に発見することができるようになりました」(纐纈氏)

「今年は3件の漏水を検知し、大きな被害が出る前に対応できたことで、オーナーさまにもしっかりとした管理体制が整えられていると大変喜んでいただきました。これは半年に1度の目視での検針では成し得なかったことで、IoT化が管理品質の向上につながっていると実感しています」(藤宮氏)

アズビル金門の電子式水道メーターと無線通信端末。水道メーターの交換のタイミングで無線通信端末を取り付け、ボックス内に収納している。

アズビル金門の電子式水道メーターと無線通信端末。水道メーターの交換のタイミングで無線通信端末を取り付け、ボックス内に収納している。

確実なデータ送信が行えるよう、電波の状況によって無線通信端末の設置場所や高さを調節している。

確実なデータ送信が行えるよう、電波の状況によって無線通信端末の設置場所や高さを調節している。

蓄積された検針値データを基に新サービスの開発も検討

藤和那須リゾートでは、オーナー所有の別荘の管理だけではなく、藤和那須リゾートが所有する別荘への宿泊サービスも行っており、リゾートライフを楽しむことができる。

藤和那須リゾートでは、オーナー所有の別荘の管理だけではなく、藤和那須リゾートが所有する別荘への宿泊サービスも行っており、リゾートライフを楽しむことができる。

水道用クラウドサービスの導入は、管理体制が整備されているというアピールにもなり、ほかの別荘管理会社との差別化にもつながります。藤和那須リゾートでは2022年末には全戸への無線通信端末の設置が完了する予定で、これにより同社の検針作業に伴う人的負担が大幅に改善される見込みです。

「検針作業が自動化されることで、社員はさらに業務の効率化や改善に取り組むことができます。自動化でできた時間を活用して、もともと社外に依頼していた水道工事を自社で行ったり、水道設備の入替えを視野に入れた調査や設計に時間を割いたりすることができるようになりました」(纐纈氏)

「現在、クラウド上のデータは日常の管理と水道料金の請求に使われていますが、将来的にはデータを使った新サービスも開発したいと考えています。例えば、定住者には高齢者世帯が多いので、遠方のご家族に水道使用量のデータを送って生活の様子をお伝えする見守りサービスの開発などです。既存の水道設備とクラウド上の検針データを活用するため、警備会社との契約や専用機器が不要となります。一般的に提供されている見守りサービスと比べ、より安価に実現できるのではと期待しています」(藤宮氏)

同社では今回のノウハウを活かし、今後は日本全国で管理するほかの別荘地に対しても同様の効率化施策に力を入れていく意向です。また今回得た知見を地域貢献にも活用したい考えです。

「我々の水道用クラウドサービス導入の取組みについて那須町と情報を共有し、ほかの別荘地や一般住宅に対して何か活かすことができないかと考えています。最新の機器のことはあまり知りませんでしたが、アズビル金門の提案で検針業務を自動化することができました。当社はどんどん新しいことに取り組んでいこうという方針なので、他施設の作業効率化施策を含めて今後もアズビル金門からの情報や提案、支援を大いに期待しています」(藤宮氏)

水道クラウドサービスイメージ

水道クラウドサービスイメージ

用語解説

※1 LPWA(Low Power Wide Area)

低消費電力で広域につながる無線通信技術。IoTなど膨大な量のデータを集めて活用するための通信インフラとして期待されている。

 

お客さま紹介

藤和那須リゾート株式会社 取締役 リゾート事業部 事業部長 藤宮 秀紀 氏
藤和那須リゾート株式会社
取締役
リゾート事業部
事業部長
藤宮 秀紀 氏
藤和那須リゾート株式会社 リゾート事業部 水道グループ マネージャー  纐纈 慎一 氏
藤和那須リゾート株式会社
リゾート事業部
水道グループ
マネージャー
纐纈(こうけつ)
慎一 氏

那須ハイランド

    藤和那須リゾート株式会社
  • 所在地/栃木県那須郡那須町高久乙3376
  • 設立/1969年12月1日
  • 事業内容/総合リゾート開発

この記事はazbilグループのPR誌azbil(アズビル)の2022 No.4(2022年10月発行)に掲載されたものです。

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