SDGs(持続可能な開発目標)
2015年の国連サミットで採択された、2016年から2030年までの国際目標のこと。「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会を実現するための17のゴールと169のターゲットが示されている。
誰一人取り残さない、国連で採択された開発目標
ここ最近、「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」という単語を目にする機会が増えたのではないでしょうか。
SDGsとはSustainable Development Goalsの略。2015年9月の国連サミットで193の国連加盟国によって採択された「持続可能な開発目標」のことです。貧困や飢餓の撲滅など八つの目標を掲げ、15年間で一定の成果を上げたミレニアム開発目標MDGs(Millennium Development Goals)の後継として策定されました。MDGsに引き続き取り組むべき課題に、新たに顕在化した課題を加えて、17の目標と169のターゲットにまとめたもの、それがSDGsです。
ただ単に目標の数が増えたのではなく、カバーする範囲が「経済成長」「社会的包摂」「環境保護」と広がりました。社会的包摂はなじみが薄い言葉かもしれませんが、英語では「Social Inclusion」と表現されています。SDGsのキーメッセージは「誰一人取り残さない」。国や民族、宗教、政治、経済などの違いにとらわれることなく、マイノリティや社会的弱者も含め、すべての人々を包括(inclusion)するとうたっているのです。
また、活動の主体に企業が含まれたことも大きな変化でした。それまでの国連の活動はODA(政府開発援助)の色彩が強く、政府やNGO(非政府組織)が主体的に取り組んでいましたが、SDGsでは企業も重要なプレーヤーに位置付けられ、持続的発展のために取り組むことが求められています。既にいくつものグローバル企業がSDGsを事業活動に取り入れ、マーケティングや広報にも活用しており、企業価値向上につなげています。
包括的な目標設定、世界の誰にとっても自分事
SDGsの目標には身近に感じにくいものもあるかもしれません。例えば、「2.飢餓をゼロに」は重要な目標ではありますが、現代の日本では深刻な飢餓が起きていないため、どこか遠いところでの話だと思えるかもしれません。
しかし、「8.働きがいも経済成長も」は今まさに日本社会が直面している課題です。途上国にとっても重要な視点なので、海外展開する企業は現地の人々と共に考えていく必要があります。また、「13.気候変動に具体的な対策を」「14.海の豊かさを守ろう」「15.陸の豊かさも守ろう」などの目標は地球全体の枠組みの話なので、すべての人に同じように関係があります。
SDGsの17の目標に対する関心度にはバラツキがあるとしても、どこかに必ず接点があります。飢餓の問題は1次産業や食品加工などに関係する企業ならば、かかわりを持ちやすいかもしれません。気候変動も壮大なテーマながら、地域で起こり得る自然災害に備えた防災訓練や防災マップの作成といった具体的な取組みが増えています。
一時的な支援ではなく、持続的な活動とするために
SDGsの目標達成に向けた活動は、持続可能であることが重要です。余剰利益に基づく寄付や支援は原資がなくなれば途絶えてしまい、根本的な課題解決になりません。理想は経済的に成立すること。すなわち、社会貢献のためにSDGsを取り入れるのではなく、本来の事業活動を通して社会課題を解決していくことです。
加えて、企業の中でも社員一人ひとりがSDGsを意識して仕事に取り組むことが必要です。各部署や個人の業務目標にまで反映し、本業として取り組むことが、活動を継続していくポイントとなります。
現在、日本では政府や経団連などが中心となり、IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)、ロボット技術といった最先端の技術を活用して、経済発展と社会課題の解決を両立する社会(Society 5.0:超スマート社会)を目指しています。経済発展と社会課題の解決を両立する姿はまさにSDGsが目指す方向性と一致しており、Society 5.0の実現はSDGsの達成にもつながります。
さらに、実は企業が既にSDGsを内在化している事例もあります。「7 .エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」に関しては、先進的に省エネルギーや技術開発などを進めてきた企業にとっては、従来取組みを進めてきた分野といえるでしょう。
2030年に向けた持続可能な開発目標であるSDGs。目新しい言葉のようですが、目指す姿は貧困や格差の解消、地球環境の保護、平和の強化といった普遍的なものです。これからどう歩むべきか。SDGsの17の目標と照らし合わせた取組みが、国際的なパートナーシップの下、進められています。
この記事は2019年02月に掲載されたものです。