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特集に寄せて:IoT時代を迎えたazbilグループの取組み

アズビル株式会社
執行役員常務
ITソリューション本部長
新井 弘志

昨今IoT,AI,ビック・データというキーワードを耳にしない日はない時代となっています。当社はこれらのキーワードが頻繁に使われる前から,空調制御,プラント制御,工場の自動化という分野で,古くから物理世界情報のデジタル化とそれらデータの活用により,お客様へ価値を提供してまいりました。制御の分野では,人によるマニュアル制御から始まり,電気式制御装置,マイコン登場によるデジタル化,ネットワーク接続によるデジタルデータの蓄積・活用,インターネットの登場による他のシステムとの連携といった進化を遂げてきており,昨今のIoT,AIといった技術革新により,新しい時代を迎えようとしています。

ここでは,当社のこれまでの歩みを簡単に紹介するとともに,新しい時代に向けた取組みについて紹介いたします。

当社は1975年に分散型制御システムを米国ハネウェル社とともに発表しました。それは,まさにIoTの基盤である,サイバー・フィジカル・システムの始まりであったと思います。それ以来当社は,常に物理情報のデジタル化とそれを利用した顧客価値創造に精神誠意努めてまいりました。デジタル情報は,それだけでは何ら価値を持ちません。そこに人の知恵と工夫を加えることによって,価値が創造されます。当社は長年,お客様とともに現場のデータを制御システムに蓄え,見える化から始まり,データ分析による設備予防保全や,プラントの安全運転支援などに取り組んでまいりました。それらのいくつかは,ソリューションパッケージとしてリリースしたものも数多くあります。その中には当社独自で開発したアルゴリズムやAIの領域に分類されるものも数多く含まれています。

まさにIoT時代を迎えた2015年には,プラントの予防保全に関して,熟練運転員が経験から学習・判断するのと同様に,ビック・データから様々な運転パターンを学習することで,設備・機器・プロセスの振る舞いの変調(異常予兆)を早期に検出し,警告する“BiG EYESTM(ビッグアイ)”という商品をリリースし,ある客先において,重要警報の発生を約4割減少させた実績があります。

クラウドというキーワードに関しては,当社はインターネット回線が普及する前の1990年代初頭より,専用回線を用いたビルや工場,プラントの当社の制御システムのメンテナンスサービスを運用してまいりました。そこでお客様の設備の稼働状況や,エネルギーの使用状況などを遠隔監視,制御を実施してきた実績があります。

また,2015年の5月に,当社のERPベースの基幹情報システムをクラウド上で稼働いたしました。これは,販売から,生産,プロジェクト管理,購買,会計,連結決算に至る企業活動全般を支援する機能範囲をオンプレミスのレガシーシステムからクラウドへと切り替えたものです。現在,グループ各社に展開しつつあります。クラウド上で稼働させたことにより,社内にそれらのノウハウも蓄積されました。

同時期に,ビル管理用のクラウドサービスを開始しています。このクラウドサービスには,当社が独自開発した予測技術を用いた,エネルギーの負荷予測を高精度にシミュレーションする機能を搭載しています。

さらにアズビル金門でもIoT対応製品として,自動検針や設備管理システムとの連携が可能な通信機能付き超音波ガスメーターの販売を開始しています。

今回の特集では,「新たな情報技術潮流における“人を中心としたオートメーション”」を特集テーマとし,当社の最新のIoT,AIなどの新たな情報化技術に関連したオートメーション技術開発や,その技術を応用した製品開発の取組みについて紹介いたします。

おかげさまでazbilグループは,昨年創立110周年を迎えました。その実績・ノウハウをふまえ,これからも「人を中心としたオートメーションで,人々の安心,快適,達成感を実現するとともに,地球環境に貢献します」という企業理念のもと,新たな技術を取り込み,進化させることでお客様に価値を提供し続けてまいります。

この記事は、技術報告書「azbil Technical Review」の2017年04月に掲載されたものです。