- アズビルMEMSの歴史と今後の展望
アズビル株式会社 技術開発本部センシングデバイス技術部 米田 雅之
アズビル株式会社 技術開発本部センシングデバイス技術部 図師 信彦
「計測と制御」の技術を活用し,「人々の安心,快適,達成感の実現」と「地球環境への貢献」を追求しているアズビルにとって,センサはキーコンポーネントの1つであり,MEMSは高性能で付加価値の高いセンサを実現する上で非常に重要な基幹技術である。早くからその有用性に注目して,1980年代半ばにはクリーンルームの建設とMEMSセンサの研究開発を開始し,これまでに様々なMEMSセンサを自社開発して多くの製品に搭載してきた。今回は主要なMEMSセンサの歴史や技術,特長を紹介するとともに,今後の展望について述べる。
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- 小型化,プロセス耐性を高めた サファイアリニューアル真空計の開発
アズビル株式会社 技術開発本部センシングデバイス技術部 石原 卓也
半導体製造プロセス用に開発された先行モデルである静電容量式真空計(形 SPG□□)を抜本的に改良した新たな真空計を開発した。センサチップおよび周辺のパッケージ構造も抜本的に変えて小型化および低容積化,高耐圧化を実現するとともに特殊なダイアフラムの構造により耐デポ性能も著しく改善した。さらにセンサ部と計測回路を分離する構造により動作可能温度を従来の200℃から250℃まで上げ,日々進歩が著しい半導体製造プロセスの様々な客先ニーズに対応できるようになった。
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- MEMS技術を駆使して過大圧保護機構を集積化した 超高耐圧差圧センサの開発
アズビル株式会社 技術開発本部センシングデバイス技術部 徳田 智久
グレースケールフォトリソグラフィ,ウエハレベル表面活性化接合,Bosch/Non-BoschコンビネーションプロセスといったMEMS技術を駆使することで,センサチップレベルで使用差圧の約630倍の高耐圧化を実現する画期的な構造を有する差圧センサを開発した。さらにこのセンサは1チップで差圧と静圧を高精度に検出可能であり,差圧レンジを超える過大圧印加時にも差圧・圧力の計測が可能である。
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- オイルフリー高感度圧力センサの開発と応用検討
アズビル株式会社 技術開発本部センシングデバイス技術部 瀬戸 祐希
差圧・圧力発信器に搭載されているピエゾ抵抗式圧力センサが大気中だけでなく高湿度下においても高い安定性を有する特長を活かし,サニタリー仕様の圧力センサへの応用を検討した。サニタリー仕様ではいくつかの要求事項があるが,特にオイルフリー要求に対して性能面で満足する製品は,現状世の中に存在しない。そこで,独自設計したMEMSセンサ素子を金属受圧ダイアフラムに接合し,ダイレクトに歪(ひずみ)を検出することで,オイルフリーで液封型同等レベルの高精度な圧力センシングが可能であることを実証した。さらに,本技術を「ロボットアームおよびロボットハンド用の力覚センサ」への応用を視野に入れ技術検証を行ったので報告する。
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- ユーザビリティを向上させた マスフローコントローラの開発
アズビル株式会社 アドバンスオートメーションカンパニーCP開発部 大貫 量孝
機械・電気・半導体などの市場では,熟練作業者の減少や要求品質の高まりにより,マスフローコントローラでの制御自動化が進んでいる。近年では,増加する計測器を限られた作業者で管理しているため,素早い状態把握手段と簡単に扱える操作手段が求められるようになってきている。今回,UI(User Interface)デザインを一新するとともに,使用条件への適合性を改善することで,従来品より多くのアプリケーションで最適な制御を提供し,市場要求にも応えたマスフローコントローラの開発を行ったので,その概要を紹介する。
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- MEMSセンサの能力を最大限に発揮させる センサパッケージング技術
アズビル株式会社 技術開発本部工程開発部 關 宏治
アズビル株式会社 技術開発本部工程開発部 片桐 宗和
アズビルは計測と制御の技術の要となるMEMSセンサ開発において,MEMSセンサチップ開発技術とセンサパッケージング技術の両者を保有することにより,他社が容易に追従できない優れた計測制御機器の開発を可能としている。センサパッケージングにおいては,ウエハ面内の膜厚のバラツキや金属と異なる線膨張率を有するといった製品化を行う上で不利となるMEMSセンサチップの特性を補完し,さらにMEMSセンサチップの材料が有する優れた特性を活かすことが重要である。本稿では,アズビルのセンサパッケージング技術について報告する。
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- 新クリーンルームの設計コンセプト ─ 独創的MEMSセンサの効率的な市場導入促進に向けて
独創的MEMSセンサの効率的な市場導入促進に向けて
アズビル株式会社 技術開発本部マイクロデバイス部 中野 正志
アズビル株式会社 技術開発本部マイクロデバイス部 黒澤 敬
2022年9月,アズビルは藤沢テクノセンターにMEMSセンサの開発拠点として地上3階建3フロアの新たなクリーンルームを竣工させた。このクリーンルームは独創的なMEMSセンサを効率的に開発し,開発完了後は速やかに量産に移行することを目的としている。順次導入される各種装置群により,今後のアズビルの計測と制御を担う技術開発の基盤となると同時にクリーンルーム建設と装置導入に携わることで成長した若手技術者達とともに,今後も長期にわたりアズビルの新時代の事業を担っていくことが期待できる。
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