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IoTを軸にものづくり領域に新たな価値を創出

製造業において、プラントの老朽化、少子高齢化による労働力人口の減少などの環境の変化を受け、安全・安心、安定操業の実 生産性の飛躍=新次元の生産性現とさらなる生産性の向上への要請が高まっています。お客さまの生産現場を計測・制御技術で支えてきたアズビルは、世の中に先駆けて「スマート保安」に取り組み、実績を上げてきました。そして今、製造業のお客さまのビジネスをより包括的に支援する「新次元の生産性」を目指した取組みをスタートさせています。

製造業を取り巻く環境に変化、安全・安心、さらなる生産性向上がより重要に

現在、製造業において、生産活動にかかわる安全・安心、安定操業と生産性の向上の重要性がクローズアップされています。その背景には、いくつかの要因が挙げられます。まず、プラントの老朽化です。日本では既に50年以上の長きにわたり操業を続けているプラントも少なくありません。ところが、そのような状況にもかかわらず、これまで生産活動を支えてきた多くの熟練オペレータが定年退職を迎え、その知見やノウハウが円滑に伝承されていないという課題もあります。今後さらに顕著となるであろう少子化により就労人口が減り、少人数でプラントの操業を支えていかなければなりません。

こうした課題を受け、化学プラントを中心に、生産活動における安全・安心の実現と生産性の向上に対して、重要度がさらに増しています。アズビル株式会社では、「人を中心としたオートメーション」をグループ理念として、アドバンスオートメーションカンパニー(AAC)で、IoT(Internet of Things)やビッグデータ、AI(人工知能)などの最新技術を活用した「スマート保安」と呼ばれる領域をはじめ、さらなる生産性や品質の向上を支援する製品・サービスの開発にいち早く取り組んでいます。

スマート保安の実現で安定操業を支える

アズビルは、プラントのスマート保安に関して、様々なソリューションを提供してきました。お客さまの現場では、バルブの稼働状況や診断パラメータをスマート・バルブ・ポジショナやバルブ簡易診断機器を用いて監視することで、バルブの不調の早期把握に貢献しています。さらに、そうした稼働データをオンラインで蓄積する製品を提供しており、そのデータを専門技術者が解析し、どのバルブから交換すべきかなどの見当をつけることで保全の効率化や最適化に向けた提案も行っています。

製品における最新の取組みとしては、設備内の各機器から大量の情報を収集し、ビッグデータとして扱い、機械学習の技術なども駆使しながら、いつもと違う機器の動き、つまり、異常予兆をリアルタイムで発見する「オンライン異常予兆検知システム BiG EYES™」や、過去のデータから未来の変動を予測してアラームを発報したりすることで、トラブルを未然に防止する「重要プロセス変数変動監視 ACTMoS™」を提供しています。

このように、様々な用途に対応する製品をそろえることで、お客さまごとの課題やニーズに合わせたソリューションの提案が可能となっています。アズビルのスマート保安にかかわる製品・サービスは、既に国内の数多くのお客さまに納入され、実績を上げています。その先進性は各方面から高く評価されており、経済産業省が産業保安のスマート化に先行的な25社の取組みをまとめた「スマート保安事例集」(2017年4月公表)では25事例のうちの7事例にアズビルがかかわっています。また、「第4回 未来投資会議*1」(2017年1月27日、総理大臣官邸にて開催)や、「タイランド 4.0*2」に関するシンポジウムのパネルディスカッション(2017年9月12日、タイ バンコクにて開催)では、アズビルがIoTを活用したスマート保安に関する説明を行い、大きな注目を浴びました。

「新次元の生産性」実現に向けた、新たな構想を進める

さらに、アズビルでは「新次元の生産性」をキーワードに、オートメーションやITサービスに関する新たな取組みを進めています。現在、多くの工場・プラントでオートメーションが既に導入されています。そのため、今後はこれまでの延長線上ではなく、生産性を飛躍的に向上させる「新次元の生産性」を目指しています。

これまでオートメーションは、装置の制御やモノの移送などの役割を担ってきました。アズビルでは、こうした従来の役割だけでなく、より高度な情報処理や意思決定を行うオートメーションを支える製品・サービスを提供することが必要であると考え、その開発を目指しています。その結果、お客さまのものづくりにおけるさらなる製品開発の加速やサービスの向上、グローバル化対応など事業活動に直結した人が得意とする創造的な活動にお客さま自身が注力できる環境の提供に貢献します。

こうした構想は、「お客さまとともに、現場で価値を創る」というグループ理念に基づき、限定された装置やラインの計測制御だけでなく、数理計画や多変数モデル予測制御により生産計画やオペレーションの全体最適を提案し、アプリケーション開発や運用支援を行いお客さまの工場運営に貢献してきたアズビルだからこそ描けるものです。

さらに「新次元の生産性」の実現を目指すためには、新技術に加え、現在と将来におけるお客さまのニーズや変化を察知/予測することが非常に重要であり、多様な観点から取り組んでいます。一例として、生産活動の中で先進的な取組みを進められているお客さまとの「IoT技術交流会」を継続して開いています。「新次元の生産性」を実現するためには、生産設備に限定されない幅広い視点が必要な経営的課題も含め、お客さまのニーズや課題を把握することが欠かせません。そのための場を実際に設け、新製品・新サービスの創造につなげています。

こうした「新次元の生産性」の実現に向けて、工業市場でのビジネスを担うAAC内の専任部署としてITサービス推進部を新設しました。この部署では、AIやビッグデータによる解析を用いて、生産部門を中心とした工場運営の全体最適に必要なソリューションなどを提供しています。アズビルの計測・制御技術と、IoTなどの最新技術を掛け合わせるためには新たな着想が必要であることから、従来の発想にとらわれない若手社員のアイデアを活かしながら取組みを進めています。

さらにアズビルでは生産部門も含めた会社全体の経営課題を、最新技術とその応用などにより解決するための商品やソリューションを専門に研究開発/市場導入するITソリューション本部という部門も設立しており、AACの生産向けソリューションにお応えしていきたいと考えています。

今後も、アズビルでは、「人を中心としたオートメーション」というグループ理念の下、長年培ってきた計測・制御の技術やノウハウを活かし、「新次元の生産性」を実現することによるお客さまのものづくりへのさらなる貢献を目指してまいります。

新次元の生産性

新次元の生産性

若手が中心となってディスカッションを行うITサービス推進部AIグループのメンバー。

若手が中心となってディスカッションを行うITサービス推進部AIグループのメンバー。

*1:未来投資会議
第4次産業革命をはじめとする将来の成長に資する分野における投資を官民連携して進め、「未来への投資」の拡大に向けた成長戦略と構造改革の加速化を図るため、産業競争力会議と未来投資に向けた官民対話を統合した成長戦略の司令塔として開催される会議。内閣総理大臣を議長とする。

*2:タイランド 4.0
タイ政府がまとめた新たな経済ビジョンのことで、今後20年で「イノベーション」「生産性」「サービス貿易」をキーワードとする付加価値を持続的に創造する経済社会を目指すとしている。

※BiG EYES、ACTMoSは、アズビル株式会社の商標です。

この記事は2018年10月に掲載されたものです。