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先進技術で「新しいオートメーション」に挑む

― 高度なセンシング技術やAIなど、先進技術を取り込んだ製品の開発を強化し、製造現場の安全と生産性、価値向上に貢献する新しいソリューションを提供 ―

工場やプラントなどの製造現場に様々なソリューションを提供するアドバンスオートメーション事業。高精度センサ、IoT、AI、ビッグデータ、クラウドなど先進技術を取り込んだ製品とシステムの開発を強化し、「新しいオートメーション」市場を開拓・拡大することで、事業の成長と発展を目指しています。

アズビル株式会社
取締役兼執行役員常務
アドバンスオートメーションカンパニー
社長
北條 良光

高度なセンシング技術やAIを活用し、製造現場のスマート化に貢献

アズビル株式会社のアドバンスオートメーション(AA)事業は、工場やプラントなどの生産現場において運転監視システムからバルブやコントローラなどのフィールド機器に至るまで、オートメーションにかかわる総合的なソリューションとサービスを提供しています。

その事業領域は幅広く、石油、化学、鉄鋼などの大型プラントから、電気・電子、半導体、自動車、食品、医薬品などの工場、電力/ガス、浄水場、ごみ焼却場といった社会インフラまで、多岐にわたっているのが特徴です。

これらの多種多様な市場では、必要とされるアプリケーションの内容、提供する製品・サービスも個々に異なります。アズビルは長年培ってきた計測と制御の技術を基に、お客さまの生産をはじめ、品質管理、省エネルギー、安全、環境対応といった生産現場における課題解決を支援する製品やシステム、保守サービスを提供し、実績を上げてきました。

近年、特に力を入れているのが、より高度な情報処理や意思決定でオートメーションを支える製品・サービスの開発です。その一つに、プラントの「スマート保安」と呼ばれる領域への取組みがあります。

現在、お客さまの現場では、保守・保全管理を担ってきた熟練運転員が退職の時期を迎え、今後の就労人数の低下も予想されることから、人手不足が深刻化しつつあります。さらに国内の多くのプラントでは高経年化が進んでおり、重大事故に対するリスクの増大などが課題とされています。これに対し、IoT(Internet of Things)やビッグデータ、AI(人工知能)などの新技術を活用した「産業保安のスマート化=スマート保安」により、現場の安全性を高め、人員不足を補完し、企業の国際競争力を強化する取組みが、官民連携で推進されています。

IoT時代のシステム構成ならびにazbilグループの商品力強化の方向性

IoT時代のシステム構成 ならびに azbilグループの商品力強化の方向性

「新しいオートメーション」がAA事業の成長の源泉に

「スマート保安」において、アズビルは「三つの目」を定義し、お客さまの現場の安全性や生産性の向上を支援しています。

「第一の目」は、運転監視システムからの操作や、人による巡回点検などです。

「第二の目」は、高機能センサを活用した設備診断データに基づく最適保全の実現です。一例として、バルブの制御を行うポジショナに高機能センサを搭載し、バルブの稼働状態をデータ化。これらの詳細データをアズビルの調節弁メンテナンスサポートシステム PLUG-IN Valstaffで蓄積・解析・可視化することでバルブの劣化状態や異常を、設備の運転を止めて点検をすることなく察知することができます。設備機器の“健康診断”ができるようになり、生産現場の安全と生産性の向上、点検管理などの作業効率改善に役立てられています。

「第三の目」は、AIやビッグデータを活用したオンライン上での異常予兆検知や未来変動予測です。アズビルのオンライン異常予兆検知システム BiG EYES™は、熟練運転員が経験から学習・判断するのと同じように、ビッグデータから様々な運転パターンを学習することで設備・機器・プロセスの振舞いの変調(異常予兆)を早期に検出し、警告します。過去の操業データを使用したフィジビリティスタディ*1では、事故発生の1週間前から熟練運転員でも気づかなかった予兆を検出、注意喚起しています。予兆を早く捉え、異常状態になる前に、しかるべき対処を行うことで事故を未然に防ぐことができます。2015年の販売以来、AIによる監視モデルは1000を超える数に上っています。

技術革新が進展を遂げる昨今、AA事業がかかわる市場の各分野では、新しい形のオートメーションが生まれています。また、それぞれのお客さまの中に、多種多様なオートメーションのニーズが存在しています。お客さまに新たな価値を提供する「新しいオートメーション」の領域を開拓することが、AA事業の成長の源泉になりつつあります。

例えば、今までは正確に測ることのできなかったものが、技術の進歩により測れるようになっています。アズビルはごくわずかな量の液体の流量を正確に瞬時値として計測できる熱式微小液体流量計 形 F7Mを開発しました。形 F7Mは、0.1~50mL/minの微小液体流量の瞬間・積算流量計測という、従来の手法では難しかった計測を可能としました。微小液体流量の計測は産業界で広くニーズがあるものの、技術的に困難で、これまで市場を満足させる商品はほとんどありませんでした。しかし、アズビルが得意とするMEMS*2技術を搭載したセンサと、これまで非常に難しいといわれていたセンサを管に接着させるといった生産面での新しい技術とを組み合わせ、世界に先駆けて製品化を実現。産業機器や半導体製造装置、医薬品製造などの分野で導入が広がっており、お客さまに新たな価値とソリューションを提供しています。

同様に、これまでのAA事業の中心である計測・フィールド機器や運転監視システムについても、今後は二つの方向性で開発力を強化することを事業戦略として描いています。

一つは、前述のMEMS技術を搭載した新しいセンサの活用や、ネットワークとの融合によるフィールド機器の開発強化です。

もう一つは、前述のBiG EYESのように、アプリケーションやクラウドを融合させたIoT時代をリードするシステム・ソリューションの開発強化です。その両方向に製品サービスの付加価値を高めていくことで、新しい事業モデルの創出や、「新しいオートメーション」市場の拡大を目指しています。

長年培ってきた技術力と強みで、リーディングカンパニーを目指す

時代や技術の変化とともに、競合他社も多種多様になる中で、アズビルの強みは大きく三つあると考えています。

一つは、長年にわたり数多くの現場で培ってきた計測・制御オートメーションにおける「技術」と「知見」です。例えばAIによるデータ解析を行うにしても、現場でどのようなデータを蓄積する必要があるのか、複数のデータがどのように関連するのかといった知識と経験がなければ、最適なソリューションをお客さまに提供することはできません。

二つ目の強みは、「性能」「品質」「安全性」です。極めて高い性能、品質、安全性が求められる計測・制御オートメーションの分野において、設計、審査、検証など、すべての開発工程で高い性能と品質、安全性を実現する技術と仕組み、ノウハウがアズビルには蓄積されています。

三つ目が製品・サービスの「長期供給体制」です。お客さまの生産現場に導入された機器・システムは、15~25年以上にわたって運用されます。アズビルは、品質維持と安全を前提に、長期にわたる製品・部品の供給や保守を行っています。数年で商品や技術が入れ替わるスピードの速い産業界において、お客さまが必要とする製品や部品の供給や保守を長期にわたって維持するには設計技術の伝承や部材の確保など、様々なノウハウが必要です。

これらの特長を競合他社に対するアズビルのアドバンテージとして強化し、オートメーションのリーディングカンパニーになることを目指しています。

一方、グローバル市場においても、現在、中国、東南アジアを中心に、韓国、台湾、インド、サウジアラビア、欧米などで「現場に密着したソリューションビジネス」を展開。AA事業全体の売上に占める海外比率は約25%となり、年々高まっています。海外市場においてもアズビルの製品は性能が高い、長期安定稼働できる、計測値がずれない、故障しない、サービス体制が充実していると評価は高く、産業が発展し続けている中国、東南アジアを中心にビジネスチャンスが増大しています。

今後もAA事業では、「人を中心としたオートメーション」の理念の下、国内外のお客さまの価値向上と発展に貢献するパートナーとして、ソリューションの開発と商品の提供に努めてまいります。

*1:フィジビリティスタディ
実現可能かどうかを確認・検討するために、事前に行われる調査・研究。実行可能性調査。

*2:MEMS(Micro Electro Mechanical System)
半導体製造プロセスを用いた微小電気機械システム。アズビルは1980年代初頭からMEMS技術にいち早く着目し、産業に応用したセンサの開発に着手。現在は湿度センサ、圧力センサ、磁気センサなど、アズビルの製品の多くにMEMSチップが搭載されています。

※Valstaff 、BiG EYESはアズビル株式会社の商標です。

この記事は2019年08月に掲載されたものです。