独自の価値提供により社会ニーズの変化に対応
― オートメーション技術を基盤とする三つの成長事業領域へ注力し、“空間の質・生産性の向上”と“資源・エネルギーの最小化”を両立 ―
azbilグループでは2030年度をゴールに見据えた「新長期目標」を新たに掲げ、その目標達成に向けたプロセスとして2021~2024年度を対象とした「新中期経営計画」を策定。持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を実践することで、自らの中長期的な発展を確実なものとし、継続的に企業価値を向上させていくための計画を明らかにしました。
代表取締役社長兼執行役員社長
山本 清博
- 事業環境変化を捉え事業活動を継続
オートメーション技術の役割が拡大 - 三つの成長事業領域での取組み強化でお客さまの競争優位性獲得を支援
- SDGsに向けた定量目標を掲げて持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を
事業環境変化を捉え事業活動を継続
オートメーション技術の役割が拡大
アズビル株式会社は、「人を中心としたオートメーションで、人々の安心、快適、達成感を実現するとともに、地球環境に貢献します」のグループ理念の下、ビルディングオートメーション(BA)事業、アドバンスオートメーション(AA)事業、ライフオートメーション(LA)事業の各領域において組織改革や収益力強化などの施策を展開し、急速な事業環境の変化に常に対応しながら継続的な成長を目指してきました。
2020年6月には、それまでazbilグループの指揮を執ってきた曽禰寛純に代わり、新たに山本清博が代表取締役社長兼執行役員社長に就任。新体制の下でさらなる企業価値向上に向けた取組みをスタートさせています。新体制の船出は、まさに新型コロナウイルス感染拡大の影響の渦中にあり、社会の経済活動が停滞を余儀なくされている厳しい状況でした。しかし、アズビルでは従業員および関係者の皆さまの安全確保を第一に、社会インフラやお客さまの重要施設の維持のためのエンジニアリング・施工といったサービスや生産活動を継続してきました。そうした中で、グローバルで政府・自治体から事業継続への要請をいただくなど、azbilグループが社会に必要とされている企業であることを実感するとともに、今後、ウイルスとの共生時代において、アズビルのコアコンピタンスであるオートメーション技術とサービス・エンジニアリング力が果たす役割はますます大きくなると考えています。
三つの成長事業領域での取組み強化でお客さまの競争優位性獲得を支援
新体制発足から約1年後の2021年5月、azbilグループはこれまでの基本方針を踏襲しつつ、さらなる成長に向けた「新長期目標」を設定。2030年度をゴールとしたこの新長期目標では、お客さま資産の“空間の質・生産性の向上”を支えながら“資源・エネルギーの最小化”に寄与し、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を実践することで、自らの中長期的な発展を確実なものとし、継続的な企業価値向上を目指しています。
そして、このような長期的目標達成に向けたプロセスとして策定されたのが、2021年度から2024年度を対象とした「新中期経営計画」です。オートメーション技術を共通基盤として、継続的なソリューションの創出に向け、その核となる三つの成長事業領域の「新オートメーション事業領域」「環境・エネルギー事業領域」「ライフサイクル型事業領域」での取組みを、BA、AA、LAの各事業に展開し、グローバルな成長を目指していきます。
まず「新オートメーション事業領域」では、事業環境が変化する中、快適で安全・安心な空間の提供や高度な生産性実現などのお客さまの競争優位性獲得を、製品・サービスの提供を通じて支援することを目指します。また「環境・エネルギー事業領域」では、お客さま資産の“空間の質・生産性の向上”を最小限の“資源・エネルギー”の消費で実現し、カーボンニュートラルの時代を見据え、“空間の質・生産性の向上”と“資源・エネルギーの最小化”の両立を実現していきます。さらに「ライフサ イクル型事業領域」では、お客さまの資産における“空間の質・生産性の向上”と“資源・エネルギーの最小化”の両立を長期にわたり実現するための製品・サービスの提供を強化していきます。そしてこの三つの成長事業領域を国内外へ展開していきます。
azbilグループではこれらの各領域において、新製品・サービスの開発とその市場投入を加速すべく、サービスのさらなる高付加価値化や事業効率化に向けたDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、および研究開発費の投入や設備投資を積極的に進めています。その一環として湘南工場をマザー工場化し、アズビル機器(大連)有限公司にグローバルでの需要拡大に対応した生産能力拡大と生産工程の高度化を目指した新工場棟を建設中です。アズビルタイランド株式会社では、2020年にIoT・AI技術を活用した次世代インテリジェントサービスの提供を目的にSolution and Technology Centerを開設しました。また、シンガポールにあるアジアの戦略機能を担う東南アジア戦略企画推進室での取組みとして、現地の大手不動産会社との連携で、スマートシティの開発を後押しする革新的なビルディングオートメーション技術の実証実験を行っています。さらに、先進的なシステムソリューション、高機能・高精度なデバイス開発力強化に向けて研究開発拠点としての藤沢テクノセンターの整備・強化を目指し、2022年度竣工を予定した新棟建設の工事を進めています。
オートメーション技術を共通基盤とした三つの成長事業領域
SDGsに向けた定量目標を掲げて持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を
一方、azbilグループでは、SDGs*1を経営の重要な道標と位置付け、「環境・エネルギー」「新オートメーション」「サプライチェーン・社会的責任」「健幸経営・学習する企業体」という四つの項目からなる「azbilグループSDGs目標」を設定。持続可能な社会の実現に向けた各種施策を展開しています。例えば、「環境・エネルギー」の項目では、2030年までにお客さまの現場におけるCO2削減効果340万tCO2/年という目標を掲げ、また自らの事業活動に伴う温室効果ガス排出削減目標を2013年に設定した30%削減から、2021年8月には55%削減(2017年基準)へと上方修正。2030年までにすべての新製品を100%リサイクル可能な設計へと変更していきます。「サプライチェーン・社会的責任」の項目では、パートナーとの間でSDGsを共通の目的として連携を行い、サプライチェーンにおいても持続的社会の実現に向けた価値観を共有。外部ESG*2インデックスと連動した独自指標を設けるかたちで、その方針や体制の有効性を評価していく取組みも進めています。
人財という観点では、「健幸経営・学習する企業体」を掲げ、2030年に働くことへの満足度・成長実感比率を65%以上に高めることを目標とし、女性活躍や研鑽機会は当社の指標で2021年度比の2倍を目指しています。2017年以降、社内でダイバーシティネットワークという女性活躍推進の教育・啓発活動を行ってきましたが、本年度からは性別や国籍などを問わない真の意味でのダイバーシティ活動へ幅を広げていく考えです。
azbilグループでは、これまでの企業体質強化、事業基盤整備、危機管理強化の実績を起点として、新型コロナウイルス対応やDXによる社会構造・価値観の変化によって生まれる新たな課題やニーズに応える施策を実践することで、お客さま、そして社会に貢献し、新中期経営計画、新長期目標の達成を目指してまいります。
*1:SDGs(Sustainable Development Goals)
2015年の国連サミットで採択された、2016年から2030年までの国際目標のこと。「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会を実現するための17のゴールと169のターゲットが示されている。
*2:ESG
Environmental(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)の頭文字。社会や企業の持続的成長のためにはこれら三つの観点が必要という考え方。
この記事は2021年09月に掲載されたものです。