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事業変革・業務変革へ向けた人材育成を実施

― 独立した人材育成専門機関として創立10周年を迎えるアズビル・アカデミー。社員エンゲージメントの高い組織を構築し、人材力をさらに強化 ―

アズビルでは、2012年にazbilグループの人材育成を担う独立した専門機関を創設。アズビル・アカデミーとして、ビジネス環境や世の中の変化に対応しながら事業変革・業務変革を推進する人材の育成を目的として、多彩な教育、キャリア自律*1支援を展開してきました。創設から10周年を迎えた今も、お客さまに価値を提供できる人材の育成を目指し、アズビルが目指す「学習する企業体」を実践する組織としてさらなる施策の強化を図っていきます。

アズビル・アカデミー<br> 学長<br> 荻野 明子

アズビル・アカデミー
学長
荻野 明子

人材育成専門機関をいち早く設置し、従業員の「リスキリング」を支援

2012年4月に株式会社 山武から社名を変更し、経営体制を一新したアズビル株式会社。その際に基本方針として掲げたのが「技術・製品を基盤にソリューション展開で『顧客・社会の長期パートナー』へ」「地域拡大と質的な転換で『グローバル展開』」、そして「体質強化を継続的に実施できる『学習する企業体』を目指す」の三つでした。こうした方針に沿って事業活動を実践していく上で重要なのが、時代や市場の変化に追随し、事業変革・業務変革を担っていく人材の育成です。そこでアズビルでは、既存の事業やスタッフ部門とは独立した人材育成機関として2012年11月にアズビル・アカデミーを創設。それまで人事部が実施してきた新入社員研修や中堅社員研修などの階層別教育、あるいはビルシステムカンパニーやアドバンスオートメーションカンパニー、研究開発部門、サービス部門などが個別に担当してきた職能別教育などを統合して研修教育体制を整備し、従業員一人ひとりのキャリア形成を支援しつつ、事業環境の変化に対応できる人材育成を図ってきました。

企業内での人材育成をこのような独立した機関を設置して行うという取組みは、当時としてはほかに例があまりない状況でしたが、事業構造の変化、および海外拠点への生産の移管や国内工場の役割変更を行っていく中で、カンパニーや職掌をまたいだ人員の配置転換も多く、従業員はそれまでとは異なる仕事の進め方や、製品・サービスに関する知識を身につけることが求められていました。アズビル・アカデミーはこのような従業員に対する教育面でのサポートを重要な柱として、再教育、すなわち「リスキリング」の場を提供する取組みを、時代を先取りして10年以上前から実践してきました。

市場環境や世の中の変化に対応した多彩な教育プログラムを展開

現在、リスキリングというと、一般にDX(デジタルトランスフォーメーション)*2 の領域が主要なターゲットとされます。アズビル・アカデミーにおいても、そうしたデジタル技術の活用、あるいはその活用による事業変革を実践することのできるスキルの獲得やマインドの醸成といった、いわゆるDX人材の育成にも重点を置いています。具体的な教育内容としては、情報セキュリティを含めたITリテラシーを育む各種研修の実施はもちろん、ワークショップなどを通じてクラウドなどデジタル技術を駆使したサービスを構想し、最終的にビジネス化に向けた提案につなげていくような講座なども開設しています。

そのほかにも、社会や事業環境の変化に即応した新たな教育施策を立ち上げ、実施しています。例えば、働く人々の多様性を理解し、それぞれの知識や能力を最大限に発揮して、企業競争力を高めていくための組織づくりを意図したダイバーシティ教育もその一つです。この教育では、azbilグループ全体として各社の人材を集めて研修を行うことで、会社の枠を超えた社員同士の横のつながりを醸成することも目指しています。また、経験豊富な社員(メンター)が後輩社員の抱える業務の悩みや課題の解消に向けた個別援助を行うメンター制度や、メンターを実践する現場人材の育成研修なども推進しています。

一方で、次世代リーダーの育成を目的とした未来志向型研修にも力を入れています。これは若手の従業員が10~100年先のアズビルの目指すべき未来を自由に描いていくという、正解のないユニークな研修です。

セミナー「アズビル未来コンパス」

東京工業大学未来社会DESIGN機構と共同で開催しているセミナー「アズビル未来コンパス」。アズビルの未来像を描き、ビジネス課題の解決や新規事業の開拓を企画・検討している。

グローバル研修

コロナ禍での中断を経て再開したグローバル研修では、azbilグループ国内外の社員が集まり、自分たちが抱えている課題を題材に議論を行い、提言をまとめる。この中での人脈づくりが、その後の仕事にも活かされる。

研修の様子

新人社員研修の様子。空調用の温水を作るボイラの構造や取り付けられているアズビルの製品を確認したり(左)、自動制御の基礎について実機を使いながら学ぶ(右)。

若手からベテランの各年代に向けたキャリア自律をきめ細かに支援

このような教育面での活動に加え、アズビル・アカデミーでは、変化する環境において従業員自らがキャリア構築に主体的に取り組むことができるようサポートしています。そうしたキャリア自律に向けた取組みとして試みているのが、キャリアカフェと呼ばれる座談会の実施です。これは、10~20代、30~40代の各年代の従業員を対象に、参加者同士がカフェに集っているような気軽な雰囲気の中でキャリアについて話し合うというものです。キャリアカフェでは、そもそもキャリアとは何かというところから、キャリアに関する考え方の最近の動向、アズビルが従業員に対してどのようなキャリア構築を求めているのかといったことも伝えます。さらに、自らのキャリアについて踏み込んだ相談がしたいという従業員に対しては、キャリアコンサルタントの資格を持ったアズビル・アカデミーのメンバーが個別面談にてアドバイスを行うプログラムも用意し、キャリア自律をサポートしています。

また、最近では65~70歳というベテラン従業員が企業で活躍していることも珍しくありません。こうした傾向を踏まえアズビルでは、アカデミー創設前から、55歳になった従業員を対象としてキャリアライフプランセミナーを実施してきました。現在の社会状況に合わせて、同セミナーでは、ベテラン人材として今後のキャリアをどう描き、リスキリングをどのように図っていくのかを考えるプログラムも提供しています。

以上のような教育、年代に応じたキャリアサポートを柱とした人材育成の活動を通じて、アズビル・アカデミーでは、アズビルならびにazbilグループに属するすべての従業員が、常にいきいきと活躍し、自分たちの会社へのエンゲージメントを高めていけることを目指しています。具体的には、SDGsの基本目標の一つとして「健幸経営*3と永続的な学習による社会課題解決の基盤強化」を掲げ、2030年度にはグループで働くことに満足している従業員の比率65 %以上、そして、仕事を通じて成長を実感する従業員の比率65%以上を達成したいと考えています。

今後もazbilグループでは、社員一人ひとりが個性を活かしながら、安心していきいきと能力を発揮し、その成果として、人から企業、社会、地球環境へつながる貢献、さらにはお客さまと社会により多くの価値を提供できる人材の育成を目指してまいります。

*1:キャリア自律
変化する環境において自らのキャリアの構築と学習に主体的かつ継続的に取り組むこと。

*2:DX(デジタルトランスフォーメーション)
進化したデジタル技術を浸透させることにより、人々の生活をよりよいものへと変革すること。

*3:健幸経営
働き方改革やダイバーシティ推進など、社員が健康でいきいきと仕事に取り組んでいけるようにするための総合的な取組みを「健幸経営」と定義し、「azbilグループ健幸宣言」を2019年7月に発表した。

この記事は2023年08月に掲載されたものです。