リスクマネジメント
azbilグループは、社会からの信頼・企業価値を損なうことのないよう、予測不可能な不確実性を含んだ経営に重大な影響を与える可能性があるリスク要因を正確に把握し、その影響の軽減に努めています。
azbil グループのリスクマネジメント
今後起こりうるリスク事象の影響を最小化すべく、毎年、外部環境の変化を加味して、網羅的にリスクを抽出したうえで、リスク発生時の影響金額や発生頻度の定量的な評価基準に基づき重要リスクを選定するとともに、ボトムアップアプローチとトップダウンアプローチを一体としたリスクマネジメントが必要と判断し、ボトム(現場部門)の情報をトップ(経営層)が十分に把握し、意思決定できる仕組みとしています。2024年度は、網羅的に抽出した119個のリスク事象のうち、16事象のリスクをazbilグループの経営に重大な影響を与える恐れのある「重要リスク」、それ以外のリスク事象を「部門管理リスク」と定めました。重要リスクは当該リスクを所掌し全責任を負うリスク所管担当役員が、部門管理リスクは当該リスクを担当する部門の責任者が、リスク軽減のためのリスク対応計画を策定・推進し、四半期ごとに、部門責任者およびグループ各社のCSR担当役員からなる「azbilグループCSR推進会議」にて対策の進捗状況をazbilグループのリスク管理統括責任者であるリスク管理担当役員およびリスク管理統括部署に報告しています。さらに、重要リスクについては、半期に1度、アズビル株式会社の経営会議メンバーからなり、リスク管理担当役員が委員長を務める「azbilグループ総合リスク委員会」でリスク対応計画の進捗状況や実効性の確認をしたうえで、期末時点で影響度もしくは発生可能性、またはそのどちらともを軽減できるように管理し、PDCAを回しています。
また、緊急事態・事象における「危機管理」への対応として発生した危機事象の影響を最小化すべく、「緊急重大事象管理」による対応の仕組みとして、発生の事象ごとに担当経営を本部長とする対策本部を設置し、原因究明、当該事象対応および再発防止を実施しています。また、その状況については、四半期ごとにアズビルの経営会議および取締役会に報告をしています。さらに、「事業継続管理」として具体的な各種のBCPも策定し、継続して体制強化に努めています。
リスクマネジメント体制
当社では、スリーラインディフェンスに基づくリスク管理を行っています。azbilグループ全般の活動において、責任を明確にした3つの防衛線を通じて、組織の内部統制・リスク対応機能の向上を図っています。第1の防衛線では、リスクごとに担当役員を明確にして自律的管理の強化をしています。第2の防衛線では、主に間接管理部門が組織全体で対応すべきリスクに対する対策の展開と管理、支援の責任を果たすことで、リスク管理に対する牽制・支援の役割を担っています。第3の防衛線では、内部監査部門が第1線・第2線によるリスク管理体制の検証・保証を行います。また、当社では、経営に重大な影響を与える可能性のあるリスクの網羅的な抽出と影響度や発生可能性の評価を行っています。経営層にヒアリングを行い、経営目線でリスクの抽出・評価を実施します。部門長・部長層による「azbilグループ総合リスク管理部会」では現場目線でリスクの抽出・評価を行い、この2つの結果をリスク一覧表(リスクの内容と評価の一覧表)とリスクマップ(リスクを影響度と発生可能性に基づき5×5のマトリックスに配置した資料)に取りまとめます。上記の資料をもとに、「azbilグループ総合リスク委員会」で審議を行い、「azbilグループ重要リスク」を決定し、取締役会に報告されます。
事業等のリスク
azbilグループの経営成績および財政状態等に重大な影響を及ぼす可能性のある重要リスクは、下記のとおりです。網羅的に抽出した119個のリスク事象のうち、16事象のリスクを重要リスクと定めました。下記の重要リスク項目および具体的なリスク事象は、2023年度末現在において当社が判断したものです。なお、重要リスクの「リスク認識」「リスクの具体的な対策」については、第102期の有価証券報告書で詳細をご覧いただけます。
事業等のリスク(第102期有価証券報告書)重要リスク項目 | 具体的なリスク事象 |
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① 品質に関するリスク | 1 製品不適合品の流出 2 品質不正 |
② 情報セキュリティに関するリスク | 3 情報管理不備 4 サイバー攻撃 |
③ 技術・商品開発に関するリスク | 5 技術革新対応遅れ 6 技術開発・商品開発テーマ不足 7 製品・技術開発遅延 |
④ 国際情勢変化への対応に関するリスク | 8 輸出管理関連法令違反 9 国際紛争・係争 10 有事の際の人命・安全 |
⑤ 自然災害に関するリスク | 11 噴火 12 地震・津波 13 火災・爆発(事象によっては人災も含める) |
⑥ 人材の不足に関するリスク | 14 採用困難 15 技術者・労働者の不足 16 人材流出 |
防災レベルの向上と事業継続計画(BCP)
azbilグループでは、防災施策として建物耐震性の確認・耐震化促進、ハザード点検、備蓄品点検、非常用通信インフラ整備、防災訓練などにより、自社への損害を最小限に抑え、防災レベルの向上に努めています。BCPは、人命の安全確保を前提として、azbilグループ全体が存亡の危機に追い込まれることのないことを確保し、業務の重大な停止・遅延を防止することで社会的責任を果たすとともに、社会の復旧に遅延することなく、企業活動を正常化させることを基本方針とし、災害等が発生した場合を想定して、各事業、生産、業務の機能別に現状分析、対応策の策定、訓練を進めてきました。また、執務場所の確保、重要システム・ネットワークの復旧対策や資金シミュレーションも実施してまいりました。今次の新型コロナウイルス感染拡大においては、これまで準備してきた計画に基づき、お客様や社員の安全・安心確保を第一に、全社をあげて対応していますが、引き続きBCP対応の向上に取り組みます。
情報管理体制の整備・強化
社外からも安全に業務を行える環境の強化など、ITシステム面での対応を行い、在宅勤務においても安全なセキュリティレベルを保っています。また、グループ全社員を対象とした情報セキュリティ教育を毎年実施するほか、コンプライアンス意識調査で明らかとなった情報管理課題への対応、各国・地域での個人情報を含む重要情報の保護に関する法令遵守、それらを適切に行うための体制の運用など、グループで統制のとれた情報管理体制の整備・強化に取り組んでいます。