2024年度 計測自動制御学会「技術賞」および「新製品開発賞」を受賞
2024年10月31日
アズビル株式会社
アズビル株式会社(本社:千代田区丸の内2-7-3 社長:山本清博)は、公益社団法人 計測自動制御学会(SICE)の2024年度 学会賞として「技術賞」1件ならびに「新製品開発賞」3件を受賞いたしましたのでお知らせします。
SICEは計測・制御・システムの分野において、研究をはじめ、関連分野や産官学との連携、情報発信の役割を担う中核的な学会です。技術賞は「新しい方式、デバイス、製品等を創案、または実施し、顕著な効果をもたらした技術的功績」に対して、新製品開発賞は「産業の分野の発展に貢献した新製品の創案」に対して贈られます。
技術賞
「小型プログラマブルジョセフソン電圧標準装置の導入について」
当社は、計測と制御を中核とした事業を展開しており,1世紀以上の長きにわたり「正しく測る」ことを追求しています。この「正しく測る」を支えているものに校正と呼ばれる、計測器の示す値がどの程度ずれているのかを確認する業務があります。当社では藤沢テクノセンター(神奈川県藤沢市)や香春技術センター(福岡県田川郡)などに校正を行う専門施設を設置しており、これらの施設では校正のための標準を保有・管理しています。国内外のazbilグループ各社が行っている開発・生産業務あるいは保守・修理などのサービス業務で使用する計測器の校正を行い、製品やソリューションの品質安定に貢献しています。
今回の技術賞受賞対象の「小型プログラマブルジョセフソン電圧標準装置」(以下、小型PJVS*1装置)は、電気量における企業の一次標準として広く用いられるツェナー標準電圧発生器に比較して、より高精度で国家計量標準と同一原理をもつ電圧発生器となります。
この小型PJVS装置が持つ性能を引き出すには、測定精度を悪化させる微細なノイズ要因の特定や極めて厳密な測定方法の確立など、電圧精密測定に対する深い知見と高い技量が必要であり、地道な評価実験の繰返しによって、この高い壁を乗り越えることに成功しました。この結果、国内民間企業で初めて社内一次標準として稼働させることができました。
一次標準としての利用に際しては、産総研の協力を得て、日本の国家標準との比較試験を行い、その妥当性を検証しました。
ジョセフソン電圧とは、一対の超伝導体の間に薄い常伝導金属を挟んだ素子に極低温下で直流電流とマイクロ波を同時に印加することで得られる量子化された定電圧ステップの電圧のことです。極めて正確かつ精密であり、原理的に経年変化しない特徴をもちます。
この標準装置により校正することでこれまで社内一次標準として使用していたツェナー標準電圧発生器の校正の高精度化を達成し、同発生器による計測器の校正の精度を高めることとなりました。
これらの業績が技術賞として評価されました。
*1 PJVS:Programmable Josephson Voltage Standardの略称
新製品開発賞
「ディマンドリスポンス・モニタ SORTiA™-Demand Response」
SORTiA-DR画面(DR発動時)
カーボンニュートラル社会の実現に向け、再エネ発電の導入が拡大しています。再エネ発電は気象条件などにより発電量が変動するため、電力需給バランス維持に需要家のエネルギーリソースを制御して電力需要パターンを変化させるディマンド・リスポンス(以下、DR)の活用が期待されています。
新製品開発賞受賞の「ディマンドリスポンス・モニタ SORTiA™-Demand Response」(以下、SORTiA™-DR)は、電力サービスでの、工場・プラントにおけるDRの確実な実施を支援する製品(アプリケーション)です。SORTiA™-DRは、当社が電力サービス提供のために運用するクラウドシステムのアズビルアグリゲーションサーバと需要家の工場エネルギー管理システム(FEMS*2)とを接続し,需要家に求められる「DR発動予測情報の提供」、「電力負荷状況によって変化するDR発動時の需要抑制目標の逐次把握」、「FEMSと連携しての自動制御によるDR(AutoDR™機能)」を提供します。これらの機能により、電力サービスを円滑に推進し、電力需給バランス維持ならびにカーボンニュートラル社会実現に貢献します。
*2 FEMS(Factory Energy Management System):工場における生産設備のエネルギー使用状況を把握し、エネルギー使用の合理化・最適化を図るためのシステム。工場内の配電設備や空調設備、照明設備、製造ラインなどの使用エネルギーをモニタリング・管理する。
ご参考:電力システム改革への積極的な参画で社会に貢献 | azbil MIND | 会社PR | アズビル株式会社(旧:株式会社 山武)
製品サイト
制御高度化ソリューション SORTiA™シリーズ | プラントの高度制御(APC/MPC) | アズビル株式会社 (azbil.com)
新製品開発賞
「マスフローコントローラ 形F4Q」
マスフローコントローラ
形F4Q
新製品開発賞受賞の「マスフローコントローラ 形F4Q」(以下、形F4Q)は、このような現場の課題を解決するための機能や性能を取り込み、ユーザーシーンに合わせた価値提供を目指して開発されました。視認性と操作性を向上するために、大型インジケーターと高精細LCDを採用し、表示情報を増大させました。表示は90°ごとに回転可能で、操作キーと表示のデザインを工夫することで設置姿勢に依存しない操作性を実現し、現場設置後でも作業者の操作性を大幅に改善しました。さらに,広い流量域で高精度な制御を実現し、制御範囲の15%~100%の設定値に対して1%の計測値精度を達成しました。 本製品形F4Qは、ユーザビリティの向上と高精度な流量制御を両立させることで、製造現場の効率化と品質向上に貢献します。
製品サイト
デジタルマスフローコントローラ 形 F4Q | マスフローコントローラ | アズビル株式会社 (azbil.com)
新製品開発賞
「ネクスフォート™DD」
新製品開発賞受賞の「ネクスフォート™DD」は、セントラル空調システムの吹出口単位に配置された制御ダンパで風量を制御し、執務者近くに配置されたワイヤレス温度センサで対象エリアの室温を計測することで、従来の汎用VAV*3製品より細分化された範囲で温度制御を実現できます。
ネクスフォート™DD
ワイヤレスセンサは、ソーラーセルを活用したエナジーハーベスト*4電源を採用しています。配線や電源供給が不要なため、執務者の机上あるいは壁面などに容易に設置することができます。オフィスにおける執務者の働き方に合わせて、よりパーソナルな執務環境や可変性の高いレイアウトに適応し、快適で使い勝手の良いオフィス空間の実現に貢献します。
製品サイト
セル型空調システム ネクスフォート™DD | 建物向け製品/サービス | アズビル株式会社(旧:株式会社 山武) (azbil.com)
当社はazbilグループの理念である「人を中心としたオートメーション」の下、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献と持続的な成長を目指し、お客さまの「安心、快適、達成感」を実現する製品や新技術の開発により社会課題解決に貢献してまいります。
*3 VAV(Variable Air Volume):可変風量方式。室内負荷(温度差)に応じて空調ダクトに流れる風の速さをセンサで計測し送風量をコントロールする。
*4 エナジーハーベスト:周囲の環境から微小なエネルギー(太陽光、熱、振動・機械的エネルギー、電磁波など)を収集し、それを電力として利用する技術である。
※SORTiA™、AutoDR™、ネクスフォート™DDはアズビル株式会社の商標です。
*掲載されている情報は、発表日現在のものです。
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アズビル株式会社 コミュニケーション部広報グループ
TEL:03-6810-1006