【ENEFORT™】
アズビルが解き明かす「エネルギー管理」 第4回
エネルギーの消費状況を把握する
エネルギー管理は目標を設定して活動していきますが、目標を設定するために、まずは現在のエネルギー消費量を把握することが重要です。今回は、エネルギーの消費状況(流れ・量)を把握する方法について詳しく解説します。
※ENEFORT(energy&comfort)は、お客様にエネルギーと安心・快適につながる情報をお届けするWebページです。
※ENEFORTはアズビル株式会社の商標です。
エネルギーフロー図を作成する。
エネルギー消費状況を把握するために、エネルギーフロー図の作成をお薦めします。エネルギーフロー図を作成することで、どんなエネルギーをどの設備でどれくらい使用しているか把握する事ができます。
作成者は第3回で解説した設備管理者です。
エネルギーフロー図のスタートは電気、ガス、油などの受入れエネルギーです。初回のゴールは照明、コンセント、空調動力、空調冷温水などの用途別とします。その後に、系統別(オフィス、商業など)や、最終的にはフロア、部署など、管理をしたい分類までより細分化したエネルギーフロー図を作成していくと良いでしょう。
エネルギーフロー図
エネルギーデータの計測箇所
エネルギーフロー図が作成できたら、エネルギー消費量を計測すべき箇所が分かります。計測すべき箇所は、エネルギーフロー図に記載した各矢印のエネルギー量、図中に記載した①②③の箇所です。②変換については各機器の出力側のエネルギー量も計測します。
計測の優先度は、建物側で消費のコントロールがしやすい、エネルギーフロー図中の①受入、②変換・搬送部分を第一優先とします。続いて③消費側を計測していくと良いでしょう。
エネルギーデータの計測方法
エネルギー消費量の計測すべき箇所が分かったら、計測の方法を検討します。まずは、計測点にメーターが設置されているか確認し、さらに、そのメーターが自動検針か手動検針を確認しましょう。
メーターが設置されていない箇所は、メーターの追加が可能であるか検討し、追加できない場合には、計算でエネルギー消費量の算出ができるよう、代わりとなる値を計測します。
エネルギーデータの蓄積方法
エネルギー消費量の計測箇所、計測方法が分かったら、計測データの蓄積方法を検討します。エネルギー管理を行う上で、エネルギーデータの蓄積は不可欠です。
データの種類は、BEMS装置での自動蓄積データや、請求書データ、目視でのメーター検針データ等ありますが、消費量を把握するだけでなく、後に分析や評価を行うためにも、紙のデータは必ず、データベース化しましょう。まずは、日ごとの消費量を蓄積することをお薦めします。
エネルギー消費量を見える化する。
計測し蓄積したデータから消費状況を把握するために見える化します。
集計
計測し蓄積したデータを見える化するために集計していきます。
- 電気、ガスなど、異なるエネルギーを比較するために、受入エネルギーを一次エネルギー(GJ)、原油(kl)、CO2(t-CO2)に換算します。
- 電気と燃料(ガス・油など)の消費比率が把握できるよう、電熱比を算出します。
- 日ごとに蓄積した消費量から月単位、年単位の消費量を集計します。
※一次エネルギー換算(GJ)・原油換算(kl):省エネ法で使用する換算
CO2(t-CO2):温対法で使用する換算
見える化
集計した消費量を見える化し、消費状況を把握していきます。
- 1年分の消費量をエネルギーフロー図に書き込み、建物全体の消費状況を見える化します。
- エネルギーフロー図上の各計測点について、それぞれ1年分の月別消費を表にまとめ、グラフを作成し、見える化します。
現在のエネルギー消費量を見える化し、現状を把握することで、次は目標設定へと進むことができるのです。
◆【ENEFORT™】アズビルが解き明かす「エネルギー管理」シリーズ◆
第1回 エネルギー管理の必要性
第2回 エネルギー管理で行うべきこと。エネルギー管理標準を定める
第3回 エネルギー管理は組織で取組む
第4回 エネルギーの消費状況を把握する
第5回 エネルギー消費の管理目標を設定する
第6回 省エネ法に基づいて報告する
第7回 省エネに向けて現状のムダな運用を見つける
第8回 省エネ対策を計画し実施する
第9回 結果を評価し、さらなる改善へ
おすすめリンク集
経済産業省資源エネルギー庁 省エネポータルサイト
省エネ法の概要「省エネ法の改正」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/overview/amendment/省エネ法の手引き(工場・事業場編)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/media/
(パンフレット一覧>省エネ法関連にあります。)- 関連リンク
- アズビル株式会社
- アズビルのビルシステム