【ENEFORT™】
アズビルが解き明かす「エネルギー管理」 第5回
エネルギー消費の管理目標を設定する
第4回では「エネルギー消費状況の把握」についてお話しました。それらの状況をどう改善し、効率的なエネルギー活用を促進していけばよいのか。第5回ではその取組みの指標となる「エネルギー消費の管理目標」について解説します。
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管理目標の設定では「エネルギー消費原単位」を使用
目標設定では、エネルギー使用量を減らすことだけに目が向きがちですが、それだと様々な弊害が生じます。例えるなら、健康のためにダイエットしようとする人がやみくもな食事制限で、逆に健康を害するようなものです。適正な食事量はその人の身体的特徴やライフスタイルが考慮されるべきで、同様にエネルギー消費の管理目標も、消費に関係してくる様々な要因が勘案されるべきです。こうした考えから、管理目標の設定においては、省エネ法で提唱されている「エネルギー消費原単位」を用いることをお薦めします。
「エネルギー消費原単位」は下記の通りで、「エネルギー使用量と密接な関係を持つ値」を分母にしています。省エネ法では、この消費原単位で昨年度比1%減少が目標です(過去5年度間で年1%以上の改善)。省エネ法の対象ではない事業者においても、この「エネルギー消費原単位」の使用をお薦めします。
経済活動の活性化と省エネを両立させる「エネルギー消費原単位」
エネルギー使用量の抑制だけでは、経済活動(生産活動)の足かせになってしまいます。目的は「経済活動を活性化しながらエネルギー使用量を抑えること」。その両立を可能にするのが「エネルギー消費原単位」を用いる手法です。
事業者における活性化とは、テナントビルであれば入居率100%、工場であれば生産量の増加などであり、経済活動(生産活動)が増大化すればエネルギー使用量は増えます。「エネルギー消費原単位」で言えば、分母が増える状態です。「エネルギー消費原単位」による管理目標設定は、分母は増やしながら分子の増加を抑制する取り組みなのです。
次に分母となる項目(エネルギー使用量と関係する項目)についてご説明します。生産数量、売上高、建物床面積、入場者数、外来者数、ベッド数×稼働率などが挙げられますが、一例として、事業用ビルを用途別に分けてまとめましたのでご参照ください。
ポイントは、自らの実情に応じた「エネルギー使用量と関係する項目」を原単位分母に組み入れること。資源エネルギー庁の2022年度報告「省エネ法定期報告の分析・集計データの情報提供」によると、不動産賃貸業・管理業の場合、79.2%以上が分母を延床面積のみに設定している現状がありますが、これでは正しい削減量は把握できません。適切な原単位分母の選択が、省エネの推進状況を把握する第一歩。
アフターコロナ期に入り、昨年度比1%減が見込めないケースが増えています。コロナ禍による経済活動(生産活動)の停滞でエネルギー使用量が減少したものの、活動再開となった今、その反動に苦慮されている現状が伺えます。その意味でも、原単位分母を適正に設定することが重要です。
具体的な目標を設定するにはベンチマーク手法が有効
分母が決まったら具体的な数値を決めましょう。具体的な数値を決めるにはベンチマークで他の建物と比較すると良いです。他のビルと比較して明らかに悪い場合は、1%以上の目標を設定すると良いでしょう。
◆【ENEFORT™】アズビルが解き明かす「エネルギー管理」シリーズ◆
第1回 エネルギー管理の必要性
第2回 エネルギー管理で行うべきこと。エネルギー管理標準を定める
第3回 エネルギー管理は組織で取組む
第4回 エネルギーの消費状況を把握する
第5回 エネルギー消費の管理目標を設定する
第6回 省エネ法に基づいて報告する
第7回 省エネに向けて現状のムダな運用を見つける
第8回 省エネ対策を計画し実施する
第9回 結果を評価し、さらなる改善へ
おすすめリンク集
経済産業省資源エネルギー庁 省エネポータルサイト
省エネ法の概要「省エネ法の改正」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/overview/amendment/省エネ法の手引き(工場・事業場編)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/media/
(パンフレット一覧>省エネ法関連にあります。)- 関連リンク
- アズビル株式会社
- アズビルのビルシステム