HOME > 製品・サービス > 建物向け製品/サービス > ビル向けクラウドサービス > 【ENEFORT™】
アズビルが解き明かす「エネルギー管理」 第6回

【ENEFORT™】
アズビルが解き明かす「エネルギー管理」 第6回

省エネ法に基づいて報告する

「省エネ法」では事業者に、エネルギーの使用状況等について定期的な報告などが義務付けられています。
第6回ではそれらの内容や提出書類の作成業務等に関して解説します。

※ENEFORT(energy&comfort)は、お客様にエネルギーと安心・快適につながる情報をお届けするWebページです。
※ENEFORTはアズビル株式会社の商標です。

イメージ

煩雑な取りまとめ作業を伴う提出書類。「定期報告書」「中長期計画書」の作成

省エネ法では、一定規模以上の(原油換算1,500kl/年以上使用する)事業者に、エネルギー使用状況等について「定期報告書」(毎年度)や「中長期計画書」(原則毎年度)の提出などが義務付けられています。

定期報告書

特定の建築物の維持管理状況を報告するもので、月別消費量の集計、それらの数値の正誤確認、結果の分析など様々な取りまとめ作業が伴います。3月までの年度分で締めて、提出期限は7月末。その間、毎年大変な苦労をされている省エネ担当者も多いではないでしょうか。複数事業所にわたる場合には、その負担はさらに大きくなります。

中長期計画書

毎年度、定められた判断基準に基づいてエネルギー使用合理化の目標達成のための中長期的な計画書であり、省エネ対策の試算や実行計画の策定などが必要となります。その前提として現状に対する様々な視点からの考察が欠かせないなど、しっかりとした現状分析を踏まえた上で計画し、次年度以降の着実な履行が求められます。*中長期計画書については第8回でも紹介します。

どちらも煩雑な取りまとめ作業が伴います。
また一方では、テナントが入っているビルのオーナーはテナントにエネルギーに関する情報を提供する必要もあるという大変さもあり、省エネ促進には様々な人の参画と苦労が伴います。

報告書の結果でクラス分け評価される

提出された定期報告書等を受け、経済産業省では事業者をS(優良事業者)、A(一般事業者)、B(停滞事業者)、C(要注意事業者)にクラス分けしています。
2021年度提出分で、Sクラスは52.5%、Aクラスは28.5%、Bクラスは19.0%でした。Sクラスの事業者は優良事業者として経済産業省のホームページで公表され、企業に対する社会的評価の向上につながりますが、その一方で、Bクラスの事業者は工場等現地調査や報告徴収、立入検査が行われる場合があり、さらにその結果、判断基準に照らして不十分と判断された場合にはCクラスとなり、指導等が行われます。
もしも工場現地調査等を受けることになった場合には調査用の資料作成が必要になり、エネルギーフロー図や管理標準の見直し、内容を整理など、新たな業務負担も生じます。
そうした事態にならないように、省エネに真摯に取り組んでいきましょう。

クラス分け評価の流れ

クラス分け評価の流れ

【詳細はこちら⇒経済産業省資源エネルギー庁 省エネポータルサイトhttps://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/overview/institution/index.html

最新の「改正省エネ法」とは

省エネ法は令和4年度に改正されました。現時点での改正省エネ法は、2050年カーボンニュートラル目標等に伴うもので、「非化石エネルギーへの転換」や「電気の需要の最適化」を促すもので、「定期報告書の任意開示制度」も盛り込まれています。

①非化石エネルギーへの転換

省エネ法の改正によって、非化石エネルギーを含むすべてのエネルギーの合理化が求められるようになりました。これに伴い、事業者は非化石エネルギーの使用状況を報告する必要があります。特定事業者等は、非化石エネルギーへの転換の目標に関する中長期計画書とともに定期報告書の提出が必要です。

②電気の需要の最適化

電気の需要に関して、これまでの昼夜の「平準化」に代えて、今後は供給側の変動に応じた「最適化=ディマンドリスポンス(DR)」を促すものに変わりました。定期報告書にも、電気の需要の最適化に資する措置を実施した日数を記載することが求められており、この日数と電気需要最適化評価原単位によって評価が行われます。
DR実施日数は「ゼロ」でも報告できますが、あくまでこれは現時点での措置に過ぎません。令和7年度からはDR実施量報告が任意で求められますので、今からしっかりとした取り組みが望まれます。

③定期報告書の任意開示制度

SDGs対応が事業者に対する社会的評価の一つとして定着しています。また、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資への注目も高まっています。こうした中で新設されたのが定期報告書の任意開示制度(令和6年度提出分から)です。定期報告書の開示はあくまで任意ですが、自社の省エネへの取り組みを広く知っていただく意義は大きく、経営の視点からも対外PRの一つとして開示対応が望まれます。

省エネ法は今後も改正が考えられます。適切にキャッチアップして対応しなければなりません。
次回以降は省エネの具体策をご紹介します。

開示シートのイメージ

開示シートのイメージ図

出典:経済産業省資源エネルギー庁「省エネ法の手引き」より


次ページ 「提出書類の作成」「テナント向け情報提供」を解決する

◆【ENEFORT™】アズビルが解き明かす「エネルギー管理」シリーズ◆
第1回 エネルギー管理の必要性
第2回 エネルギー管理で行うべきこと。エネルギー管理標準を定める
第3回 エネルギー管理は組織で取組む
第4回 エネルギーの消費状況を把握する
第5回 エネルギー消費の管理目標を設定する
第6回 省エネ法に基づいて報告する
第7回 省エネに向けて現状のムダな運用を見つける
第8回 省エネ対策を計画し実施する
第9回 結果を評価し、さらなる改善へ

おすすめリンク集

経済産業省資源エネルギー庁 省エネポータルサイト