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アズビルが解き明かす「エネルギー管理」 第8回

【ENEFORT™】
アズビルが解き明かす「エネルギー管理」 第8回

省エネ対策を計画して実行する

運用の見直しから随所に潜むムダを見つけたら、次なる段階は、それらを削減するための具体策、すなわち省エネ対策の実践です。第8回では、省エネ対策の「検討」から「計画・実行」まで、それぞれのポイントについて解説します。

※ENEFORT(energy&comfort)は、お客様にエネルギーと安心・快適につながる情報をお届けするWebページです。
※ENEFORTはアズビル株式会社の商標です。

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省エネ対策を検討する

探し出したムダを、どうやってなくすのか。具体策としては、「①運用改善で省エネ」と「②設備投資で省エネ」の2本立てで考えると明確になります。まずは対策案を全て出していきましょう。実施の可否は計画段階で検討します。

①運用改善で省エネ

投資を必要としない、運用改善での省エネ対策を、前回解説した3つの視点「運転時間」「設定」「機器効率」に沿って整理します。

運用改善で省エネ

運転時間

ムダな運転があると判断した機器は、停止または間欠運転を行いましょう。
手法としては、手動での停止と、タイムプログラムによる停止があります。例えば電気室や共用廊下など、常に人が居ない場所は、室温の変動を確認しながら、タイムプログラムに細かくON/OFFを設定して間欠運転を行ったり、社員食堂や更衣室など利用時間が限定されている場所は、利用時間のみ運転するタイムプログラムに変更しましょう。

設定

季節や用途、在室者数などに応じた設定に変更を行いましょう。
例えば、冬期の冷房要求にも外気冷房を活用できるため、外気冷房制御は年間有効に設定しましょう。また、エントランスやロビーは常に人が居ないため、空調設定を緩和しましょう。省エネにつながります。
在室者数の変動が少ない居室は、CO2制御によって外気の取り入れを最小限にとどめましょう。
手動で変更または、制御プログラムの活用など、変更の頻度に合わせて手法を選択しましょう。

機器効率

同じ機器でも実際の効率は異なります。それぞれのCOP(エネルギー消費効率を示す成績係数)を算出し、最も効率が良い機器を長く運転できるように運用しましょう。
例えば、熱源機器が複数ある場合、通常、それぞれの運転時間を均一にするために1台目に運転するベース機を切替えますが、最もCOPが良い機器をベース機に設定する運用も検討しましょう。省エネにつながります。

②設備投資で省エネ

設備投資を必要とする省エネ対策を「運転時間」「設定」「機器効率」に沿って整理します。
設備投資での省エネ対策は大きく2つに分けられ、既存機器を活かす、整備や省エネ制御の導入と、既存機器を高効率機器に更新する方法があります。中でも省エネ制御の導入は投資コストも比較的少なくて済み、簡単かつ確実にムダをなくせます。

設備投資で省エネ

運転時間設定

室内環境や利用状況に応じた間欠運転や複数系統の設定変更を頻繁に行うのは、手動では限界があります。省エネ制御を追加することで、温度やCO2濃度などの室内環境や利用状況と連携した停止や複数系統の設定変更を自動で行えます。自動の場合、実施忘れなどがなく、確実に実行できます。

機器効率

省エネ制御やインバータの追加、制御方式の変更により、負荷に応じたきめ細やかな運転を自動で行うことで、搬送ポンプの動力を削減できます。老朽化により機器単体の効率が低下していれば、機器のオーバーホールによりCOPの改善が見込めます。また、新しいものに更新する際には、過去の消費状況から最大需要に合わせた容量の機器を選定し、かつトップランナー基準を満たした機器を選びましょう。

*トップランナー基準とは、省エネ法に基づき、各種機械器具のエネルギー消費効率を向上させるための基準値を設ける制度。
詳細はこちら⇒一般社団法人 省エネルギーセンターhttps://www.eccj.or.jp/machinery/toprunner/

省エネ対策を計画・実行する

省エネ対策の洗い出しができたら、対策ごとに優先順位を決めましょう。優先順位を決める上では、費用対効果の事前予測が欠かせません。投資対策では、費用対効果の算出を実施業者に相談してみましょう。
省エネ法で提出が求められている「中長期計画書」では、投資対策の実施予定時期や期待効果(kl/年)などの記載が必要です。5年平均で1%減が目安になるので、計画の時点では期待効果が1%を下回らないようにします。そして、実際の効果が1%を下回ってしまうことがないように、計画に則ってしっかりと実行していきましょう。
優先順位が低い対策も、状況が変わって実行可能になる可能性もあります。見直していきましょう。


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◆【ENEFORT™】アズビルが解き明かす「エネルギー管理」シリーズ◆
第1回 エネルギー管理の必要性
第2回 エネルギー管理で行うべきこと。エネルギー管理標準を定める
第3回 エネルギー管理は組織で取組む
第4回 エネルギーの消費状況を把握する
第5回 エネルギー消費の管理目標を設定する
第6回 省エネ法に基づいて報告する
第7回 省エネに向けて現状のムダな運用を見つける
第8回 省エネ対策を計画し実施する
第9回 結果を評価し、さらなる改善へ

おすすめリンク集

経済産業省資源エネルギー庁 省エネポータルサイト